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テーマ 「雑誌」について語らせろ!

過去のレギュラーセレクター

雑誌とは「煽るもの」だと考えています。シーンがそこになくても捏造する。まだ人気の出てないまっさらな誰かを大人気アーティストとして売り出す。その嘘を現実化するのは読者で、読者がついてくれば雑誌という嘘は現実のものとしてずっと回り続ける。だから僕は雑誌に公平性や正しさを求めていません。嘘をついても幻でもいい、真実は後からついてくればいい。一読者としての僕は無責任にそう思ってます。つまり雑誌が発する不確かな情報に振り回されたいのです。いつだって。

ele-king

「世界初のテクノ専門誌」として90年代の日本テクノ・シーンを作ったテクノ専門雑誌。TwitterもUstreamもない時代、とにかくこの新しい音楽を共有し広めていく場を作ろうという熱意が伝わってきます。創刊号はアナログレコードと同じ判型で文字通り型破りな仕様。型破りすぎて書店流通が困難となり、次号から普通の判型に戻り誌面で読者に詫びるという前のめりすぎる姿勢も魅力。西島はこの前身たるインディーズ誌「Delic」の頃から読者で、友達が掲載された時は本当に羨ましかった。2011年にDOMMUNEのサポートを得て、まさかの復活をとげました。

G20

ガンダム20周年を記念したガンダム専門誌。アスキーという出版社がぎりぎりパソコン文化の先鋭性を持っていた時代なのか、ガンダムをサブカルチャーとしてハイセンスに捉えなおすという、野心的で困難な試みに挑んでいます。西島は編集者の誘いにより、コラムニストとして参加。2号出したところで立ち上げの編集者が次々に辞め、残された僕はvol.8「連邦」特集のカラーグラビアのディレクションを担当。当時恋した女の子に公私混同でコスプレさせて撮影したのも良い思い出。とにかくがんばりました。

ファウスト

新本格ミステリーを輩出した「メフィスト」の向こうを張って刊行された、ラノべ以降の新世代にむけて創刊された戦うイラストーリー・ノベルスマガジン。イラストーリーという名称の正体が未だに不明なんですけど、見切り発車で夢を現実化しようという欲望に満ちています。ここで育った西尾維新ほかの活躍は周知のとおり。創刊記念に開催されたイベント「ファウスト・フェスティバル2003」において、OPムービーを担当。この頃の僕はMADな映像作家でもあったのです。なつかしー!

S-Fマガジン

日本初のSF専門誌。どうやら僕はフロンティア精神に満ちた「初の専門誌」が好きみたい。読者として憧れていたこの雑誌に参加したきっかけは、とあるパーティで編集長に出会い、初対面なのに「この雑誌ぜんぜんつまんないよ」と言ってしまったこと。だったら何かやってみろというわけで、音楽ライターとして関わった雑誌から、最終的にはデビュー作『凹村戦争』を出してもらえたのだから、人生何がどう転ぶかわかりません。感謝!

リスアニ!

アニメソングを聴こう! というわけで、アニソンの地位向上とリスナーとの連帯を促しつつ、さらに誌面で新人発掘まで行い、アーティストをあつめてフェスまで開催するという、すごい雑誌。雑誌が持つべき要素が最大に高められているのがこの「リスアニ!」だと思います。創刊から数年の「ele-king」が持っていた精神を、復刊した「ele-king」以上に宿していると思います。中心人物の1人である編集者がDJまほうつかいのメンバーだったりして、これまた不思議な縁。

西島大介さん

74年生まれ。漫画家。イラストレータ。映像作家。2004年に『凹村戦争』で漫画家として衝撃的なデビューを果たす。現在は月刊IKKIにて『ディエンビエンフー』を連載中。他、講談社BOXでさやわかと共に「西島大介のひらめき☆マンガ学校」を開校し、未来の漫画家を輩出している。

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