ツイ4 『第69回 ツイ4新人賞座談会』 #0009

『第69回 ツイ4新人賞座談会』

変わった設定も多く選り取り見取り!

ツイ4新人賞とは?

はじめに

磯邊 第69回ツイ4新人賞座談会を始めます。今回の投稿作は9作品です。

岡村 今回もご投稿ありがとうございます。さっそく見ていきましょう!

作品No.1 おじさんとちび 八咲ヒサ

おじさんとちび

持丸 ちびが何者なのかわかりづらかったけど、続きがとても気になりました。

池澤 幼女とおじさん......! 事案です。というのは置いといて、ほのぼのものかと思いきや突然の不穏な展開。かわいさと展開のギャップが衝撃的で引き込まれました。ただおじさんとちびが突然出会ったという割に、やたらと距離感が近いので流れが自然に見えるよう、もう少し工夫がほしいところです。

磯邊 セイロン、バリゾウゴン、ドヤチビ......擬音語が変わっていて良いですね。

岩間 ネグレクトに気づき子どもを救ったおじさん。これからの展開が気になります。導入がやや冗長で、最初の4ページでは何の話かわからず勿体ないと思いました。ツイ4ではTwitterで冒頭最大4ページが連載1回目となるので、続きが気になるような構成を意識していただけると嬉しいです。

持丸 ネグレクトという背景は現代的かもしれませんが、温かみがある絵柄と合わないと思います。ちびと青年の交流を描くなら(『綿の国星』みたいな)マジカルな設定でも良かったのでは。

岡村 ドヤチビかわいくて頭良いな......! 10本でストーリーに起承転結があるのもgoodです。おじさんがちびちゃんに負けないくらいもっとキャラが立っていてほしいです。

丸茂 会話の応酬だけで楽しませる力があったと思います! ただ画力向上は頑張っていただきたいですね、それだけでも更に見違えるくらい良くなると思うので。またご投稿いただけたら。

作品No.2 徳谷くんと古牧先輩 しろくろパン工房

徳谷くんと古牧先輩

岩間 このまんがの魅力である古牧先輩のマイペースさ、小悪魔ぶりがもっと驚くべきものになれば、魅力が更に高まるのではないかと思いました。

持丸 男の子2人の顔がほぼ同じに見えてしまいました。瞳と鼻筋にもっとオリジナリティがほしいですね。

池澤 キャラクターの描き分けができるようになると魅力が出てくると思います。私は古牧先輩よりも徳谷くんがかわいいと感じてしまいましたね。それは作者さんの狙いではないと思うので、古牧先輩にもっとつかみどころがあると主人公に共感できるのではないかと!

丸茂 良く言えばかわいらしい、辛く言えば普通の作品という印象でした。徳谷くんの素直さをもっと極端にしたり、先輩のキャラも美人以上のポイントがほしかったです。

片倉 荒削りな点が目立ちますが、キャラの表情が良く描けていると思います。その点は好感が持てました。

岡村 1ページ目でちゃんとラブコメだと提示しているのが良いです。ただこの作品ならではのラブコメとしての「売り」はちょっとわからなかったので、そこを突き詰めてみてほしいです。

作品No.3 セクハラ撲滅!くるみちゃん 玖島川のり

セクハラ撲滅!くるみちゃん

太田 うーん、このまんがは平たく言ってアウトですね。でも、ちょっとイラッとくる「地獄のミサワ」さん風の絵柄と相まって、独特のおかしみを感じます。ギャグのセンスも、題材を変えてみれば光るものがあるのでは、と感じました。別の題材を見つけて再挑戦してみてください!

岡村 このくるみさんみたいに「思い込みが激しく、よく勘違いをするキャラクター」自体は、コメディに推進力を与えるので良いのですが、センシティブな要素をコメディに昇華するにはかなり高度な技術とバランスが求められるので、作品として成立させるのは難しいです。

作品No.4 ひとりずもう コンビニ場所 はるさわみみずく

ひとりずもう コンビニ場所

持丸 作者の創作衝動を感じました。地味OLの1人称、地味な絵柄とも相まって生々しい。この先を極めるとどうなるのか、気になります。

丸茂 「知らない中学生男子を超気にするOL」というシチュエーションはありだと思いました! ただ、このOLさんの思考を説明することがギャグに繋がっていなかったかと。

片倉 縮尺の不自然さなどが、1周回ってヘタウマの域に達していると思いました。そういう意味では嫌いではないのですが、商業作品として見ると、ネーム量や画力など押さえるべき点を押さえきれていませんね......。

岡村 テキストのサイズをもっと大きくしてほしいです。

作品No.5 ポジティブ症候群 大和すかい。

ポジティブ症候群

持丸 2人用のお笑い台本みたいにストーリーを組み立ててるのが良いですね。面白さ、ヤマ、オチをどう作っていくかが課題だと思います。

太田 基本的なアドバイスになりますが、バルーンの位置関係や強弱にもっとメリハリを付けてみましょう! 格段に読みやすくなると思います。

丸茂 独自設定を説明するのみの話が多い印象です。僕はこの変な病気にさほどキャッチーさはないと感じました。友情関係やポジティブ/ネガティブなキャラを描きたいのであれば、ほかに展開の仕方があったのではと。

岡村 ネガティブな人が何かしらの理由でポシティブなことをせざるを得なくなる、という設定自体は良いのですが、その設定の魅力を上手く提示できていない印象でした。修造が凄いということには全面的に同意します。

作品No.6 優しくありたいだけなのに 木屋

優しくありたいだけなのに

持丸 キャラが良く見えました。話が自然に展開するのはその効果でしょう。

太田 あと1歩何かが足りない感じですね。

丸茂 石動くんのキャラ設定とプレゼンに失敗していたのかなと。「不良だと誤解されてる」=「周りからのイメージに反感があること」と、「女性が苦手なこと」が微妙に共存できていなかった印象でした。

岡村 いきもの係をやりたかった文弥くんが1番の癒しキャラに感じて微笑ましかったです。水仙寺さんみたいに内面が打算的なヒロインはぶっちゃけ好きなのですが、石動くんのキャラと「女が苦手」という価値観は、目新しさが弱いと感じました。

作品No.7 もめん漫画 湊谷鈴

もめん漫画

持丸 はい、かわいい(「もめん」が)。フキダシ以外パステル色なのは「やるな」と思いました。もめんの特性を考えての美大生とのコンビなのでしょうね。『ど根性ガエル』の可能性を感じます。

岩間 はんなり豆腐」という雑貨屋で見かけるキャラクターを思い出しました。柔らかい雰囲気のイラストがかわいらしいです。もめん豆腐を助けたことがきっかけで、「もめん(布)」が恩返しをしてくれるという設定は面白かったです。

池澤 シンプルで良いですね。ラスト2ページ連続で干されていて笑いました。

丸茂 一反木綿の可能性を感じました。もう2歩くらい面白ければ......。女子大生の適当なあっけからんとした性格も悪くないと思うんですよ!

岡村 丸茂くんと同意見で、女子大生のさっぱり感が好きです。絵柄もかわいく、テキストも多くなく、4コマとして読みやすいのが素晴らしいです。ただこの作品の成否は「もめん」というキャラクターが実際に人気が出るかが全てだと思いますが、僕は難しいと思いました。

丸茂 僕は「もめん」のビジュアルはアリだと思うんですけどね......「ゆるふわ妖怪」シリーズみたいな、マイナーな感性かなあ。現状スローペースでオチが弱いので、ネタを磨きつつ2倍くらいほっこり笑えるところがつくれたら「もめん」でも勝負できたのではと思います。またご投稿いただきたいです。

作品No.8 お喋りきゃたぴらー かささごあすか

お喋りきゃたぴらー

磯邊 かわいいです。アゲハ蝶の幼虫にもギャルと陰キャ(?)がいるのは新しくて良いですね。

岩間 蝶々の幼虫の歩く時の効果音が「てふてふ」だったことに、クスッと笑ってしまいました。オオムラサキの幼虫が何をする話(例えば恋愛をする話など)なのかが冒頭でわかると、より引き込まれたと思います。

池澤 視点が面白いですね。ただこのキャラクターなら、凄くかわいくないと読者が引いてしまうと思います。その点で言えば、やや気持ち悪さが勝ってしまっている印象です。

岡村 4コマとしては読みやすくてgoodです。「幼虫」そのものが世間一般的に人気のある生き物ではないので、幼虫をメインにするなら他に策を考える必要があります。

太田 配色センスが良いですね。一本調子になってしまいがちな世界だと思うのですが、ほどよくメリハリがあって飽きさせません。

作品No.9 不幸の味は蜜の味? 清沢イオル

不幸の味は蜜の味?

持丸 「不幸審判!」という名言風の必殺技がいいですね。『デロリンマン』の「魂のふるさとへかえれ」を思い出しました!

岩間 スカッとする内容に好感を持ちました。ヒロインの幸が、ただ不幸の悪魔に巻きこまれるだけでなく、自分自身で決断をし、行動をすれば、更にこの設定が活かされるのではないかと思いました。

磯邊 1コマ目の「また赤信号」という不幸が、つかみとして弱いので、彼氏に振られたことについて弱音を吐いていた方が、どんな話なのかがわかりやすいと思いました。

片倉 前半の2人の掛け合いが、ギャグに勢いがあって好きでした。逆に後半は典型的な勧善懲悪で陳腐さを感じました。冒頭の勢いを最後まで持続させてほしかったです。

岡村 途中から出てくる悪役があまりにもベタなのでどうかと思ったのですが、「数々の男を虜に〜」のセリフは説明的すぎて、ギャグとして笑ってしまいました(念のためですが、褒めてます)。絵は、頑張って描いているところと、そうでないところの差がありすぎるので、真面目に1作仕上げるなら、そこはしっかり描いてほしいです。

おわりに

磯邊 今回はあと1歩......!な作品が多かった気がします。

岡村 次回もご投稿、お待ちしております!