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『大坂将星伝』ブログ⑦ 長宗我部氏下篇

こんばんは、平林です。
二日連続で更新するぞ〜、というわけで、
長宗我部話の後篇をお届けします。

前回は、
「国親の仮名、元親の幼名に関する情報が抜け落ちたり誤ったりしていた」せいで、
「信親の仮名「弥三郎」がなんか不自然な感じに」なっていたんだよ!!!
「な、なんだってー!!!」
というお話でした。

さて。
今日問題にしたいのは、公開中の試し読み第三章で、
いい感じのやんちゃぶりを発揮してくれている長宗我部盛親の幼名「千熊丸」です。
(下巻まで継続して出てきますので、今後の彼の成長に期待しましょう)

この「千熊丸」という幼名、戦国時代にわりと流行ったようですね。
調べてみると、盛親以外にも、三好長慶、立花宗茂、柿崎憲家などが名乗っているんですね。
 
ところで、この「千熊丸」の読み方がわからない
「せんくままる」? 「ちくままる」? 「ちゆうまる」? 「せんゆうまる」? 

『大坂将星伝』では「せんくままる」を採用していますが、
今日はそこに至った過程をご紹介しましょう。



まず、可能な読みの中でも、除外できるものがあります。
「せんゆうまる」と「ちゆうまる」ですね。

なぜなら、長宗我部元親の兄・信親は「千雄丸」、
上記二つの読みだと、区別が付けられないんですね。
信親と盛親は十歳はなれていますが、ギリギリ二人が幼名を名乗っていた時期は重なるはず。

故に、「せんゆうまる」と「ちゆうまる」は除外され、
「せんくままる」か「ちくままる」の可能性が高まります。
 
ただし、ここからが難しい。
信親が「せんゆうまる」なら盛親は「せんくままる」
信親が「ちゆうまる」なら盛親は「ちくままる」
となるんでしょうが、生憎どちらも決め手がない。

幼名の読みは案外厄介な問題で、例えば今川家嫡男の幼名、竜王丸についても、
長年読みが分かりませんでした。
こちらは、なんと「辰王丸」と宛字で書いた書状が発見されて、
「たつおうまる」に読みが確定した、ということがありましたが、
長宗我部家の場合はそういう資料があるとは寡聞にして知りません。

故に、一般的に行われていた幼名である「千熊丸」が、
普通はどう読まれていたか、というところから考えるほかないでしょう。

幼名に「熊」とか「虎」とか勇ましい動物を入れる場合、
まあだいたいは訓読みするのではという気がします。
しかし、それだけで確定するのは流石に強引です。

そこで、ポピュラーな名前なので読みは統一されてたはず、と考えて、
先学の業績を利用させていただきましょう!
ということで、同じ幼名を持つ三好長慶・立花宗茂について人物叢書で確認。
すると、双方共に「せんくままる」と振っているんですよね。

これに矛盾する例としては、
津本陽さんが三好長慶について「せんゆうまる」と振っていらっしゃるんですが、
管見の限り津本さんのみですし、この場合は学者の方が書かれたものが優越するでしょう。

ひとまずここまでで、
僕が集められる材料は集めたと判断しました。
そして仁木さんにご報告。

そんなこんなで、確定にはいたらなかったものの、
現時点で一番可能性が高そうな「せんくままる」を採用する運びとなりました。

でもアレなんですよね、
今後、「せんくままる」以外の読みであることを示す資料が出てくるかもしれないんですよね……。
ま、その時はその時ということで!

さて、次回はまた来週の更新となります。
何の話をしようかは考え中です……。
うーむ。
リクエストなどありましたら、気軽に@seikaisha_moegiまでリプライ下さいね!

明日取次搬入となる『大坂将星伝(中)』でも長宗我部盛親は出てきますので、
成長した盛親もどうぞ宜しくです〜。

(written by 平林緑萌



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