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テーマ つぎに「引っ越し」したときにこれだけは買う

過去のレギュラーセレクター

当初は5週限定のはずだったのですが、もう5週延長で登板することになりました。うんざりしている方もいらっしゃるかと思いますが、僕も自分の文章の拙さにうんざりしています。ともあれ、お題に入りましょう。今までに7回だか8回引っ越しましたが、次こそは賃貸じゃなくて一戸建てが欲しい! 一戸建てが建つまで、10年だって今の部屋を動かないぞ!(謎の決意)

庭付き一戸建て

正直、「次」であるかどうかは判然としないのだが、とにかく庭付き一戸建てが欲しい。男子たるもの、一国一城の主でなければならず、一国一城と言えばやはり庭付き一戸建てであろう……などと考える僕はきっと古いタイプの人間なのだろう。でもやっぱり欲しい、庭付き一戸建て。そして、働き始めてから、小さいながらも庭付き一戸建てを自分たちの稼いだ金だけで建てた両親の偉大さが分かるようになった。僕はまだまだ未熟です。(城も欲しいけど)

猫派か犬派かと問われれば犬派である。どうも出版業界は漱石や百_の昔から猫派が強くっていけない。今こそ犬派が結集し、断固として猫派との決戦に挑まねばならない。旗頭は犬村小六さんにお願いしたい。個人的には、犬と言えばやはり和犬。純血種なら柴か秋田か紀州あたりがよかろうが、個人的には雑種犬が佳い。雑種犬は丈夫だし、そもそも飼い主だって雑種である。庭付き一戸建ての庭には雑種犬。雑種同士の気取らぬ関係が心地いいのである。たまには隣家の猫が遊びにくることも許そう。ただし、僕は猫アレルギーなので撫でたらすぐに手を洗います。

書斎

父の書斎は昼なお薄暗く、入り組んで配置された本棚の上に天井まで本が積まれ、それでも収まりきらない本があちこちに溢れ出していた。書斎の一番奥のどん詰まりには小さなライトと踏み台、そして何故か竹刀が置かれていた。僕はよくそこに潜り込んで、『弥生人骨』という写真集をめくっていた。あれは我が人生最初で最後の(多分)ガイコツブームであった。成長に伴って色んな本を持ち出したが、父の書斎がなければ僕はこんな面妖な人間にならずに済んだだろうに……という思いは少なからずある。しかし、僕もそんな風に子供に道を誤らせるような書斎を持ちたいと思っている。

里山

買えるのかどうかはよく知らないが、里山は実に大切である。我が父の出身地は奈良と和歌山の間(家の裏を流れている川が県境)の実に辺鄙なところにあるのだが、里山が保たれていた時分には、集落の中を流れる小川でシジミが採れた。みそ汁の具である。しかし、ゴルフ場に里山を売っぱらってしまってからはシジミもいなくなった。左に挙げたDVDは湖西地域の里山をとらえたもの。これを観ていると、自分が都市的な豊かさを捨てられるかどうかは分からないが、ロードサイドよりは里山の風景を選びたいものだと思わされる。遺伝子レベルで何かが刻み込まれているのかもしれない。

コバエがホイホイアース製薬

夏になるとどこからともなく出現する小バエというやつが、どうにも苦手である。文字通り五月蝿くって仕方がない。過日、某氏と小バエの五月蝿さについて語り合い、「アレが必要だ!」という結論に落ち着いた。「あの上半分が赤い色になってる……」「タマネギみたいな形の……」「ええと、“コバエがどっさり”だっけ?」……惜しい! 正解は“コバエがホイホイ”でした。「引っ越す前に買えよ」「むしろポチれ」などと言われれば返す言葉はない。

平林緑萌

星海社エディター。1982年奈良県生まれ。
立命館大学大学院文学研究科博士前期課程修了。書店勤務・版元営業を経て編集者に。2010年、星海社に合流。歴史と古典に学ぶ保守派。趣味は釣りと料理。忙しいと釣りに行けないので、深夜に寂しく包丁を研いでいる。

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