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テーマ 生まれ変わったらこの国の人になりたい!?

レギュラーセレクター 曜日

「生まれ変わり」って本当にあるのだろうか。あるほうがロマンチックな気もするけれどね。

はてしない物語ミヒャエル・エンデ

物語の中にある国で生まれ変わってみたいのは、断然、『はてしない物語』の「ファンタージエン」。『ナルニア国物語』の「ナルニア」とちょっと迷うところだけれど、ナルニアのひどく一神教的な世界観は、ちょっと息が詰まってしまう気がする。しかし、ファンタージエンに生まれ変わったとして何をしよう? 僕の場合は案外、そっちの世界でも変わらずに編集者をやっている気がするなあ……。

悲しみは逆流して河になる郭 敬明

まさか「自分が中国人に生まれていたら……」なんてことを思う日が来ようとは! ゼロ年代中盤に中国に何度か通うようになって、僕はすぐにそう感じてしまった。北京や上海に渦巻いている、圧倒的な人と街のエネルギー。まぶしかった。僕が生まれるべきだったのはこんな場所ではなかったか、という気持ち。あの雑踏をリアルタイムで肌に感じるだけで、“若さ”がある人間ならば皆、そんな気持ちを抱くのではないだろうか。この『悲しみは逆流して河になる』は、そんな現代中国を代表する天才作家・郭敬明の代表作。この一冊を読めば、きっとあなたも僕の気持ちがわかります。

天人五衰三島由紀夫

三島由紀夫で卒論を書いた僕ですから…。だからやっぱり、生まれ変われるのならば、この日本に生まれ変わりたい。三島は、遺作となった『豊饒の海』四部作で「生まれ変わり」をテーマに彼が感じた「東洋」と「日本」のすべてを込めて筆を運んでいく。そして、待ち受ける第四部『天人五衰』のラストシーン……。僕はこの世にあるあらゆる小説の中で、もっとも美しいラストシーンのひとつだと信じている。もし生まれ変わることがあっても、この僕の意見にきっと変わりはないだろう。

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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