ここから本文です。

テーマ 「次世代」を感じさせてくれた作品

レギュラーセレクター 曜日

「やべえ! うわ。未来きてるよこれ! え。えええ。オーバーテクノロジーじゃね? 世が世ならオーパーツじゃね? 次世代っしょ。これマジ次世代っしょ。ふはーー。ありがとう未来!」というふうに、つまり頭が馬鹿になってしまうくらい(笑)驚愕し、感激し、恐怖すら覚えたものを、発売された年代順に挙げてみます。

ゲームボーイ任天堂

89年発売。「外でもゲームができる」という、あまりにも画期的で革命的な商品です。本機を死ぬほど愛した佐藤は、初代、ブロス、ポケット、カラーと買いまくり、なのにソフトは結局10本も持っていなかったと思います。そう、ソフトではなくハードを愛してしまったのです。お弁当箱のようなフォルム。河原の石のような優しい重み……。ただ見ているだけで、ただ持っているだけで、あんなにも気持ちのいいゲーム機は、後にも先にもゲームボーイだけです。

3DO

94年発売。スーパーファミコンの「次」をめぐり、セガサターンとプレイステーションが次世代戦争を繰り広げる数カ月前に発売された3DOですが、まあね、さすがに買いませんでした。しかし本機にまつわる数々の要素……唯一気になったゲームソフト『Dの食卓』を作られたのが飯野賢治さんだったり、謎の3DO推奨番組『高城剛X』に新宿三郎として登場されていたのが渡辺浩弐さんだったり……は、おそろしいほど今現在の佐藤と直結しています。この現象が何を意味しているのか説明できる方はいませんか。

ルンバiRobot

02年発売。ロボット掃除機ですよ奥さん! 自分で勝手に掃除して、自分で勝手に充電するという、ちょっとした子供より賢いルンバちゃん。こんなにも「次世代」を感じさせる商品がかつてあったでしょうか。家具の下には潜りこめるし、部屋の隅のホコリも取ってくれるので、軽い清掃ならルンバちゃんに任せています。ただ1つだけ問題がありまして、「おお。おお動いてる。ホコリをちゃんと取ってる。すごーい! かわいいなあ」と、つい作業に見入ってしまい、結局は掃除機をかけた方が早いんですよね。

フリクションパイロット

07年発売。フリクションといっても、東京ロッカーズとは無関係ですよ。っていう面倒くさいギャグは置いときまして、何とこれ、こするとインクが消えるのです。ペンとしてのアイデンティティを自ら捨てたようなもので、発売当初、佐藤の食指はまったく動きませんでした。しかし、ゲラと呼ばれる校正紙を直す作業が出版界にはありまして(デジタルツール活用しまくりの星海社でも同様)、紙に赤ペンでガシガシ修正を入れるんですが、そのときに大助かり……の予感。まだ使ってないんだ。

iPod touchApple

08年発売。空想未来ガジェットの定番だった「タッチパネル」という機能を、あっという間に庶民レベルまで広げた名機。画面を触ったら反応するし、なぞったらスライドするし、拡大するし縮小するし……陶酔。佐藤は初代モデル(アプリの数が少ない、アップデートが有料、カメラもスピーカーもない)を発売日に買い、iPhone4がやってくるまでメインで使っていました。あんなに使い倒したポータブルプレイヤーはなかったなあ。

佐藤友哉さん

1980年生まれ。作家。『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』でメフィスト賞を受賞し、「戦慄の19歳」としてデビュー。2005年、『1000の小説とバックベアード』で第20回三島由紀夫賞を受賞。本年『デンデラ』が映画化され、6月より公開される。愛称は「ユヤタン」。

フォローする

POPとして印刷


本文はここまでです。