ここから本文です。

テーマ 思わず「中二ゴコロ」を熱くさせる作品

過去のレギュラーセレクター

やはり僕は中二病なんだろうなぁ、と思うことは年に何度かあるわけですが、今回あげた作品を見ると無条件に中二の魂がうずきます。でも中二の頃、こんな大人になるとは想像していなかった気がする自己矛盾。人生ってむずかしいね……。

攻殻機動隊Stand Alone ComplexProduction I.G

『S.A.C.』だけでも三度以上は通して見ているような気がするのですが、何度見ても『攻殻機動隊』はワクワクします。攻勢防壁、熱光学迷彩、電脳などなど胸躍るキーワードが次々に視覚的にも描かれ、公安9課の精鋭が暗躍し、タチコマが疾駆する――その中でも特に『S.A.C.』は笑い男のアイコンが素晴らしい! 著作権でご飯を食べている身として気軽に礼賛する訳にはいきませんが、インターネット上で未だにモザイク代わりとして使われている例も多く、中には元の作品を知らずに使っている人もいるのであろう様は、まさに作品にリンクするような趣があります。物作りの側の人間としてあまりにもキャッチーなこの現象には憧れますね。

LAST EXILEGONZO

スチームパンクな世界観とその中で描かれる架空の小型飛行挺・ヴァンシップ乗りの日常と葛藤。世界を三等分する大国とギルドに、独立した存在として空を駆ける無敵艦隊シルヴァーナ。特に第一話から丁寧に描かれるヴァンシップ乗りの世界が本当に好きなのですが、自分の手の届かない世界に妙に惹かれるのは「中二ゴコロ」ゆえなのでしょうか。主人公・クラウスの優柔不断にイライラさせられることもままありますが、この世界観だけですっかりやられてしまいます。

ブギーポップは笑わない上遠野浩平

当時はもちろんそんな名称はなかったはずなのですが、「中二病」的な形のない感情の発露を自覚することになったのはおそらくこの作品がきっかけだったように思います。編集者として自分の出発点を見直さねばと、現在10年ぶりぐらいの再読中。そういえば深夜アニメを録画するようになったのもこの作品のアニメ化がきっかけだなぁ……。個人的にもっとも業の深さを感じる作品のひとつ……かも。

バトル・ロワイアル高見広春

言わずと知れた傑作中の傑作。中学の時に読みましたが、あの頃はリアル中二ではなく中三だったのかな。ちょっと残念。修学旅行のバスで突然無人島に連れて行かれたらどうしようとか臆面もなく考えたりしましたが、特段そういうこともなく、脳天に銃口を突きつけられたりもせず、普通に大人になってしまいました。42人もの生徒を細大漏らさずしっかり描ききるなど、未だにこの作品の密度の高さには頭が下がります。ところで本作に改造携帯電話が出てくるシーンがあるのですが、なぜか自分でも改造して同じようなことができるんじゃないかと思い込んでいた節がありまして、今思うと大変イタい。しかし二回線同時保有の携帯電話は、SIMカードを2枚させる携帯電話の登場によりなんと実現可能になってしまいましたね。時代がフィクションに追いついたような気がして少しばかり痛快です。

タクシードライバーマーティン・スコセッシ

先日ついにこの作品を見るに至りました。中二病の夢のような物語で、最初空気が読めないながらもそれなりにモテそうなオーラを出しているロバート・デ・ニーロ扮するトラヴィスが、デートに誘うことに成功した選挙事務所につとめる美人のベッツィーを何故かポルノ映画に連れて行ったあたりから雲行きが怪しくなり、最終的に裏ルートから拳銃を仕入れて袖口に仕込むあたりで笑いがこらえられなくなってしまいました。しかし鏡に向かって「俺に用か?」など予行演習をしている姿など、リアル中二の頃をなんとなく思い出させるような趣もあり、大変にもやもやします。深夜、自室でシャドーボクシングをしなかった男子などいないはずだ……!

POPとして印刷


本文はここまでです。