村上春樹の諸作品の中で、もっとも好きな作品のひとつ。僕の担当している作家さんならおそらく誰もが、「春樹さんの『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』みたいな作品、書いてくださいよ！」という僕の無責任なリクエストを耳にしているはずだ（笑）。みんな、ぜひ僕のリクエストに応えてください！！

学生時代、三鷹の禅林寺のそばに住んでいた。禅林寺には太宰治の墓があった。僕は太宰の作品はたぶん何でも好きだけれど、あえて『晩年』を推したい。これ以上「あっ」と言わせるデビュー作のタイトルは日本はおろか、世界文学史上にも存在しないのではないだろうか。太宰△！

あー、もう、この本、すっごい好き。タイトルも装幀もパーフェクト。反則的に好きすぎて何も語れない。この本をボストンバッグに入れて家出を経験しなかったことだけが、僕の青春の日の後悔だ。編集者としては、せめて（？）こんな短編集を、いつか担当して世に送り出してみたい。