編集部ブログ作品

2014年3月18日 14:25

曹操スペシャル対談 ①

新たなる「曹操」のために——土林さんに聞く、キャラクター創作秘話。(前半)

 

土林誠、吉川英治版『三国志』のビジュアルイメージを語る

太田:星海社文庫から発売中の吉川英治の『三国志』。ぜひ読んでください! 今日はその装画を担当し、新たな息吹を『三国志』の世界に吹き込んでいる土林誠さんとざっくばらんに土林三国志における曹操(そうそう)について語りたいと思います!              

       

土林:そうですね。

太田:土林さんの曹操はイメージカラーが赤ということになっていますが、何故この色になったのでしょうか?

土林:曹操が初登場するシーンで、兜から馬具も含めて全て赤いという表現があったので、そこからイメージがきています。

 

太田:初対面のイメージからだったんですね。あの炎のシーンはすごくかっこいいですよね。普段土林さんがキャラクターメイキングするとき、こんな感じで最初に色から決めることが多いんですか?

土林:そうですね、色からとる場合もあれば、線画を鉛筆で描いてから色のイメージを持っていくこともありますが、今回は他にも関羽(かんう)の場合でしたら緑のイメージがはじめにありました。

太田:『三国志』の場合は、キャラクターごとにまず色が最初に浮かんだという感じなんですね。

土林:人物によりますね。劉備(りゅうび)は何色かな? ってずいぶん迷いました。曹操は文章の表現として色があったので助かりましたね。

太田:たしかに関羽と曹操については最初から小説で色の方向性はちゃんと示されていましたね。とくに曹操の場合は明快でした。たとえば、土林さんの今までのお仕事で「赤」といえばこれだ! というキャラクターはおられますか?

土林:ゲームだと株式会社CAPCOMさんに社員として在籍していた時に制作に携わった『Devil May Cry』のダンテ。

太田:ああっ!! そうか、確かにダンテは赤いですよね。

 

太田:今回の『三国志』の曹操だとどういう赤ですか?

土林:曹操の赤は……炎の中から出てくるシーンなので、この様にみえていますね。

太田:わりとシーンによって色合いが分かれてくる感じなんでしょうか?

土林:そうですね。このあたりの赤を元にしています。

 

絵・左から蕫卓(とうたく)・曹操(そうそう)・呂布(りょふ)・貂蝉(ちょうせん)・太史慈(たいしじ)・孫策(そんさく)・劉備(りゅうび)・張飛(ちょうひ)・関羽(かんう)

 

太田:キャラクターのパーソナルカラーという点においては、曹操は赤というよりも、より深い深紅になっていると思うのですが、それは何故でしょう?

土林:これは小説を読んでいるとそう感じたんですね。曹操は赤とか朱よりも、より目立つ深紅だろうと思いました。

太田:実は曹操に赤っていうイメージは珍しいんですね。日本における他の『三国志』作品の曹操だとブルー基調のものが多いんです。本場の中国では黒です。悪役ですから(笑)。日本の場合は赤って、呉の孫一族に赤を持ってくることが多いんですね。おそらくですけど、コーエーの歴史ゲーム『三国志』シリーズで魏が青、呉が赤、蜀が緑という配色なんですよ。そこに影響を受けているものが多いんじゃないかな、と。ですので、そういう意味だと、赤、深紅を魏のシンボル中のシンボルである曹操のイメージカラーに持ってくるのって、星海社から出す吉川英治著三国志ならではの表現で、今までの『三国志』のビジュアルイメージ上、ありそうでなかった色使いだと思います。

 

後半(3/25公開)へ続く

 


 

星海社文庫 三国志(二)