金曜日 平林緑萌
僕はゼロ年代最初の年に大学に入学した。大雑把に言えば、ゼロ年代=青春時代ということになるのだろうか。そんなわけで、まだ30歳にもならない僕がゼロ年代を振り返るとしてもなかなか客観的になれないものがあるが、青臭い時代にゼロ年代を過ごしたものとして、その時の自分に影響を与えたものを挙げてみようと思う。
僕はゼロ年代最初の年に大学に入学した。大雑把に言えば、ゼロ年代=青春時代ということになるのだろうか。そんなわけで、まだ30歳にもならない僕がゼロ年代を振り返るとしてもなかなか客観的になれないものがあるが、青臭い時代にゼロ年代を過ごしたものとして、その時の自分に影響を与えたものを挙げてみようと思う。
ゼロ年代。2000年から2009年までの10年。アメリカのタワーに航空機が突っこむ朝で始まり、アメリカ初の黒人大統領が誕生した夜で終わったディケイド。CDショップが町から消え、書店数もどんどん減り、テレビが家庭の中心から外れ、ネットの通信速度だけが順調な上昇をつづけたゼロ年代という時の中で、日本の大衆文化は何を生み出したか。僕たち送り手が何を作り、あなたたち受け手が何を求めたか。年代順に検証していきましょう。次の10年のために。次のゼロ年代のために。
僕にとってのゼロ年代は16歳から25歳。今の星海社の読者にもっとも身近な年齢の間にゼロ年代を駆け抜けました。まさか自分が次の10年代を作り手の側として挑戦することになるとは思っていませんでしたが、僕のゼロ年代を作り上げた作品を振り返り、次の10年代へ、その遺伝子をつなげられたら最高です。というわけで、僕のゼロ年代に影響を与えた小説、漫画、音楽、ゲーム、アニメをひとつずつセレクトしました。
ゼロ年代ってなんだろう…?と、まずそれが疑問でぐぐってしまったわたしです。2000年〜2009年の間の年代のこと。2000年といえば中学生で、2009年といえば漫画家二年生でした。ゼロ年代…わたしにとってはつまり、青春時代ということになります。青春時代…ふりかえってみたら…友達、課題、漫画漫画漫画、学校、これ以外の記憶が、全くありません。つまらないやつだなあと、思います。
日本では長い間「戦後」という時代の区切りが機能していましたが、いとも容易く、戦争中が常態になりました。いろいろなものがあっという間に輝きを失いました。古色蒼然とした役にも立たない「きれい言」に変わりました。実際に訪れた未来世紀は、夢でも悪夢でもなく見事に現実でした。暴力が日常にずいぶんと馴染んでしまっても、僕たちは笑ったり、泣いたり、怒ったりしています。新しい楽しいことだってたくさん見つけました。美しいものや、正しいものを真剣に求め続けています。現実を生きています。そして次の「十年代」は大震災で始まりました。