編集部ブログ夜の最前線

2017年4月11日 23:40

星海社の本で京都を感じよう

丸茂です。
昨日は早坂吝さんの『双蛇密室』を読みました。

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自称十八歳の女子高生である、「援交探偵」上木らいちのシリーズです。
シリーズ1作目、『○○○○○○○○殺人事件』のタイトルを当てるよう読者に挑戦する趣向、そして作中事件が解決されるときに明かされるギミックに「マジかよ!」と快哉を叫んだぼくはこのシリーズが大好きなのですが、今作もすばらしかったです。
援交相手・藍川警部補の出生にまつわるふたつの密室、どちらも蛇が絡んだ謎に、らいちが挑むわけですが......「援交探偵」ならではの解決の手際に、今回も「やられた!」と叫びました。
淫乱な上木らいちがとにかくかわいいです!(......という薦めかたは公序良俗的にどうなんだろう)


さて、昨日に引き続き、今日も京都の雰囲気を味わえる星海社の作品をご紹介!
これまた京都での日々が美しく描かれた、shachiさんの『手のひらの露』。

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先輩から借りたノートパソコンを無くし、四〇〇万円という大金を要求された糺ノ杜大学の一回生・菊宮優吾。切羽詰まった優吾は、一〇年ぶりに血の繋がらない兄・手代木譲を訪ね、それをきっかけに二人は共に暮らすことになる。
たぐいまれな記憶力を持つものの、平凡な大学生の弟。伝説的なトレーダーだが、世間からは引きこもっている兄。
再び交わった二人の道行きは、数々の事件を巻き起こし、事態は手代木の隠された過去すらも掘り起こしていく......。
京都の四季を背景に、露のように儚く美しい、人生最良のひとときが幕を開ける。


弟・菊宮優吾をワトソン役に、兄・手代木譲の快刀乱麻な推理が冴え渡るシリーズです。
弟の話を聞くだけで、スラスラと謎を解いてしまうお兄さんの安楽椅子探偵っぷりに惚れ惚れするのですが、このふたりの名字が違うことから察するように、ふたりは血のつながりがない兄弟。
しかし共同生活が始まったことを機に、お兄さんの暗い過去に立ち入りながらも、静かにふたりが兄弟らしさを得ていく様子が優しく綴られていきます......。
「それにしても出町柳、今出川、北山......この半径数キロ圏内の青春はなんだ! おまけに竹田まで......リアリティ溢れる京都生活をご堪能あれ」という円居晩さんの推薦コメントの通り、まるで実際に生活しているような気分になる、京都の街並みの描かれかたも必見です!


そして最後に『妄想テレパシー』。

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先月に3巻が刊行された『妄想テレパシー』ですが、市バスが描かれたり、祇園祭が描かれたり、その舞台は京都であることが各所からわかります。
340話では、みんなの行きたがってる大学がなんとなく想像できましたね。
『妄想テレパシー』にときどき見つかる京都な部分を、ちょっと注意して読んでみるのも楽しいのではないでしょうか。


ということで、星海社の作品で京都を感じようシリーズでした。
次にぼくが京都に行けるのは、いつになるかな......。