ツイ4 『第104回 ツイ4新人賞座談会』 #0005

『第104回 ツイ4新人賞座談会』

新年1発目! 今年もアツい作品をお待ちしております!

ツイ4新人賞とは?

はじめに

戸澤 明けましておめでとうございます! 第104回ツイ4新人賞座談会をはじめます。今回の投稿作品は、全8作品です。

岡村 今年もよろしくお願いいたします。さっそく見ていきましょう。

作品No.1 ヤりたい女とヤれないあの娘 れいみ

ヤりたい女とヤれないあの娘

岩間 主人公の目的がはっきりしており「この作品がどういう作品か」わかりやすい点が良かったです。主線がハッキリした作画も媒体と相性が良さそうだと思いました。一方で、構成はまだ工夫ができそうだと感じます。具体的には、これから物語がはじまるというところで終わっている点が勿体ないです。10ページで何ができるか考え抜くことで、より面白さが伝わりやすくなります。

太田 主人公がちょっと悪い意味で独りよがりな感じがするのがどうしても気になりました。そこが笑えるならば良いと思うのですが。

丸茂 ストーリーを進行させつつ、4コマとしてオチもつけるというバランスはとても良かったのではと。ただキャラに対して好感が持てるかというと......難しい。

栗田 女性ふたりどちらもイイ性格をしていて、テンポも良いです。ただツイ4への掲載を考えたときに直接的な表現が多く、この作品をリツイート(リポスト)して自分のタイムラインにあげて拡散&応援したくなるかというと、ちょっと難しい感じもしました。

岡村 主人公が自分の欲望に忠実なこと自体は良いです。もっと相手のことを思いやれると応援したくなるキャラになるかもしれません。

作品No.2 異能力者・立川茜の日常 森野カナエ

異能力者・立川茜の日常

岩間 異能力で、ちょっとした困りごとを解決するという設定が面白かったです。構成については、これから物語がはじまりそうなところで終わっており、勿体ないです。

栗田 異能力がどれも面白くて、「書類を役所に絶対受理させる能力」や、予防接種の際に「恐怖心と痛覚をなくす能力」は特にほしいと思いました......!

持丸 日常の中で能力者を扱っているところが気に入りました。乾いているのに可愛い絵柄。色々な部分にセンスを感じました。

太田 僕『斉木楠雄のΨ難』の大ファンなんですがそれを割り引いても面白い! アスパラガスのところは「これぞセンス!」ですね。

丸茂 最初から友人視点にして、茜さんにツッコミを入れる形にするのが良いかなと。ふたりの関係がどう進展するのか......という点も、読者がストーリーを追いたいポイントとして織り込めたら良かったのでは。

岡村 冒頭にインパクトがあるのは良いです。ただ主人公が異能力で何でもできすぎて、何をがんばるかということにあまり真剣味を感じませんでした。

前田 画像のサイズ(解像度)の問題か、カクカク(ジャギー)が出ておりまして、折角かわいい絵なので次回以降には改善いただけるととても嬉しいです。

片倉 「いろんなことができます」という超能力にはご都合主義を感じてしまいます。異能ものは何かしらの縛りがあった方が面白い展開にしやすくなるのではないでしょうか。

作品No.3 彼氏が幼馴染みと仲が良すぎてしんどい AKITO

彼氏が幼馴染みと仲が良すぎてしんどい

岩間 面白かったです。10ページの中に予想外の驚きがあり、ハッピーエンドな点に好感が持てました。ただ、主人公がどちらかというと受け身であまり頑張っているように見えないところが気になりました。主人公が誰かに助けてもらうばかりではなく、自ら行動するような見せ場があると、今以上に面白さが伝わりやすくなるはず。

戸澤 キャラがそれぞれ立っていて良いですね。全体的に、大きな驚きや、わかりやすく面白いポイントが弱いように感じました。

栗田 学生インスタグラマーや配信者が出てくるのが令和の学園ラブコメっぽいと思いました。

前田 テクニカルなコメントですが、セリフの配置・順番ですとか、文字とフキダシのサイズですとかを整理・統一していただくだけで、画面がみやすくなりそうですよ。

岡村 キャラが元気が良いのは好きです。ただ、この話で何を一番見せたかったのかは、ちょっとわからなかったです。

作品No.4 M荘の人々 からまり

M荘の人々

岩間 大変だった実体験をあえて明るいタッチで描かれている点が良かったです。ただ、全体を通して、どういう出来事が起こったのか? は、わかりますが、キャラクターを応援したくなるような魅力がわかりづらかったです。エッセイ作品に正解はありませんが、商業作品として作品を出す以上は、読者さんに楽しんでもらう必要があります。「あの頃」の自分を見つめ直し、読者さんが読んで笑顔になるキャラクターづくりを意識していただけると、より面白さが伝わりやすくなるはず。

太田 絵柄が良いですね。

栗田 からまりさん自身の大変な体験を、楽しい4コマとして描こうとしてくださっているのが伝わってきます。ただ、コンテンツとしての面白さももっと追求してみていただきたいです。

持丸 雰囲気が暗くないところはいいですね。

岡村 作中で何が起きているかはわかります。どういう面白さを伝えたいかは、正直よくわかりませんでした。

作品No.5 完熟ブルーハワイ 百合桜涯

完熟ブルーハワイ

片倉 面白かったです! オフビートな中にもしっかり笑いどころがあり、作者さんのセンスを感じます。ただ絵柄は「個性的」よりも「拙い」という印象が先立ってしまうもので、ブラッシュアップしうる伸びしろを感じます。

岩間 10ページを通して、ふたりの関係性がとてもよくわかる点が良かったです。ただ、このふたりを応援したり見守ったりしたいと思うような驚きや見せ場は、もっと工夫できたはず。多くの読者さんが共感したり、応援したいと思えるエピソードにも是非挑戦していただけると嬉しいです。

岡村 インパクトがあるヤバさでした。ヤバさを面白さに昇華できているかというと、そうでもない気がします。

栗田 ふたりの女の子の関係は面白い部分があるのですが、4本目や7本目でファンタジー要素が急に入ってきて違和感がありました。

前田 3ページ目の「イメチェン」、絵のインパクトがありすぎて、ちょっと心の準備が間に合いませんでした。

作品No.6 鬼山は今日も平和 八咲ヒサ

鬼山は今日も平和

岩間 ほっこりするエピソードが魅力的でした。鬼の女の子も子鬼たちもキャラクターデザイン、内面ともに可愛らしくて良いですね。ただ、今回ご投稿いただいた繊細で温かみがある作画はWeb連載ではせっかくの魅力が伝わりづらく勿体ないです。ツイ4は最初に読まれるのがスマートフォンであることが多い媒体です。媒体に合わせた描き分けを意識していただけるとありがたいです。

栗田 おせっかいをする小さな小鬼たちが可愛かったです。ツイ4だとスマホの小さな画面で見る読者の方が多いため、八咲さんがSNSに掲載しているミニキャラを描かれているときのような、主線がくっきりした絵のほうが映えるかもしれません。

片倉 絵が非常にお上手ですね。話自体は言ってしまえば他愛ないものですが、それでも絵の魅力がしっかりあるので楽しく読めました。

持丸 酒合戦のところ面白かったです。小鬼も可愛い。ラストのワライタケもばっちり決まりましたね。全体的にテンポが良かったです。

丸茂 絵柄やコマ割りはこなれていてよかったのですが、4コマ目にオチをつける意識がもっとほしいところでした。1ページごとに「かわいい!」などと読者がリアクションできるようにしてほしいです。

戸澤 頑張る小鬼たちが可愛らしい! 最後の黒曜さまの笑顔がたまらないですね。個人的にはワライタケのシメ、すごく好きでした。

前田 「女の子の酒盛り勝負」というテーマはかなりグッときました。しかし、少々盛り込みすぎですので、そこの一点に絞った構成を練っていただきたかったです。

岡村 二人の鬼姫、とても可愛いです。ただ、誰が何をなぜするか、というのがうまくハマってない印象でした。

作品No.7 misamanga 山田凛

misamanga

岡村 正直、よくわからなかったです。

前田 3Dを使った作画という意味では『5億年ボタン』を思い出しました。独特の質感があります。

岩間 強烈に印象に残りました。ただ、ネタの面白さがわからず申し訳ないです。

作品No.8 神さま、仏さま、御仏さま たらこクラブ

神さま、仏さま、御仏さま

戸澤 キャッチーな絵柄が素敵です。御仏さまもおちゃめで、ほどよくあまりご利益がなさそうな感じが良いですね。

片倉 ほのぼの系でほっこりします。ジワジワとした面白さはありますが、積極的に「わざわざお金や手間をかけてでも読みたい」と思ってくれる熱心なファンのつく話作りが今後の課題でしょうか。

岩間 キャラクターデザインがとても魅力的です。ただ、主人公がずっと受け身で、あまり努力せずに御仏さまの力で物事がうまくいっているように見える点が気になりました。しっかり者ではないキャラはOKですが、しっかりしていなくても優しい人柄であったり、不器用でも物事が良くなるよう努力したりするなど、主人公のことを応援したくなる見せ場があると、より面白さが伝わりやすくなるはず。

持丸 他愛もないギャグなのですが、絵柄と絶妙に合っているのはもしかしたら見事と言っていいのかもしれません。

前田 2本目が気がかりです。というのも、バディが主人公と密接にくっつく作品(『ど根性ガエル』や『寄生獣』のような)と、バディが主人公から自由に回遊する作品があって、今回は後者。だとしたら「それでもバディが主人公のもとに戻ってこないといけない理由付け(必然性)」がないと、ちょっと物語全体がふわふわになっちゃうかなと思うんです。

おわりに

戸澤 今回の投稿作品は以上です。れいみさん、森野カナエさん、AKITOさん、からまりさん、百合桜涯さん、八咲ヒサさん、山田凛さん、たらこクラブさん、ありがとうございました。

岡村 次回もよろしくお願いいたします。