ツイ4 『第44回 ツイ4新人賞座談会』 #0007

『第44回 ツイ4新人賞座談会』

2019年突入。今年を一分一秒無駄にせず突っ走れ! 

作品No.0007 シルドワ みこま社

作品No.0007「シルドワ」みこま社

太田 評価が難しい! 大前提として、これはマンガ作品と言うよりは「マンガでわかる〜」系の作品ですね。もっと厳しく言うと、マンガではなくて、マンガの技法を手段として用いたいわゆる「絵解き」ものになってしまっている。童話や民話の裏面に迫る系の本が山のようにあるなかで、この作品がそれらを超える存在になれるかどうかは疑問です。また、「持ち込み用の10ページ」だからこそ、単行本の1冊以上におもしろくないとダメなんです。あの『ジャンプ』作品も、たいていは連載1回目がいちばんおもしろいじゃないですか!

丸茂 背景や色使いが醸成する雰囲気は好きです。ただ知らなかった情報はでてこないので残念でしたね。太田さんが指摘した通り、童話についてそれなりに興味があるひとは知っていることが多いでしょう。この絵柄で『とつくにの少女』みたいな人外ものを読みたいというのが個人的な希望です。

石川 絵柄もデザインの工夫も色使いもいいですね! ただ、ネーム量も相まって「説明」感が強すぎる気がします。「各童話の秘密をダイジェストで」とありますが、反対に1作品の知られざるおもしろみを深掘りするスタンスのほうが望ましいのではと僕は思いました。

岡村 いろいろ知らないことが多かったので、僕は正直勉強になりました。画力も高いと思います。けれど、知識を得るおもしろさとマンガとしてのおもしろさは別です。マンガとしておもしろくする場合、キャラクターの魅力は避けては通れない要点で、この作品はそこが足りていないと思います。ただそれは作家さんがどちらのテイストで描きたいかによるので、マンガとしての良し悪しではなく、ツイ4に合っているかいないかを判断基準に考えてみてください。