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カテゴリ: 編集部より

記事カテゴリ:太田克史のセカイ雑話

『佐藤友哉×星海社1000ドル小説の旅』全国ツアー第二日目 九州は赤く燃えている!

全国ツアー第二日目。宮崎。朝5時にホテルのロビーに集合。

 佐藤友哉、太田克史ともに昨夜の宴の余韻はまったくのゼロで、バリバリの戦闘モード。

全国に散らばる12人の読者と対峙するこの無謀な企画で出会った読者はまだ昨日の大宮で出会ったたったの一人だけなのだが、彼女との出会いを通じて、この企画は“超本気”で駆け抜けなければならないことを佐藤、太田の両名は瞬時に悟っていた。

読者の狂気は、ときに作家や編集者のそれを凌ぐ。

そういうことなのだ。
書き手である作家や、送り手である編集者にドラマがあるように、受け手である読者にもドラマがある。しかも、一級の。
旅の初っぱなで、僕たちはその当たり前と言えば当たり前な事実を不意打ちのように突きつけられた。この旅が終わるころ、僕たちは確実にそれまでの佐藤友哉や太田克史ではいられなくなるだろう。そんな強い予感があった。

05:30、二人めのお客様が待ち受けている宮崎県串間(九州の右下端っこにある街)に向けて朝焼けのなかを出発。超ローカルなワンマン電車である。当然、一両編成。串間に行くには、この電車に三時間揺られなければならない……。

 

06:00、南宮崎を過ぎたあたりで、とある男性客から「佐藤さんですか?」と声をかけられる。なんとそれが二人目のお客様だった!彼は仕事場が串間にあって、ちょうど今日は実家のある宮崎から串間まで戻るところだったのだ……というわけで、ぶらり二人旅が突如、三人旅に。それからは車窓を流れる景色を眺めながら、ディープな佐藤友哉ファントークの世界が延々と二時間半……。

 

さて、自分のことなのでついつい忘れてしまいがちになるけれど、僕(太田克史)と佐藤友哉さんとの出会いは11年前の2001年に遡る。ゼロ年代を駆け抜けに駆け抜けたこの11年間で二人で成し遂げた仕事は多々あるけれど、この車内で出会った二人めのお客様は、これら僕と佐藤さんの大きな仕事の節目節目で打たれたイベントのほとんどすべてに参加してくださっていた。

ざっと挙げるだけでもたとえば“闘うイラストーリー・ノベルスマガジン”『ファウスト』の刊行を記念して行われた伝説のイベント、「ファウストフェスティバル」参加に始まって、各種サイン会、佐藤さんと滝本竜彦さんが漫才コンビを結成してコントを披露した講談社BOXファン倶楽部総会出席……。

このひとは僕と佐藤さんが駆け抜けた11年間を、読者としてずっと追いかけ続けてくれていたのだ。さすがに感無量な気持ちになる。人生の節々で、僕らはたしかに一緒にいたのだ。

8:30、串間着。
串間には朝からオープンしている喫茶店はまったくないので、駅前のローソンのイートインスペース(ありがとうローソン!)で1000ドル小説『ラストオ
ーダーの再稼働  鏡佐奈はおわらない探偵』をお渡しする。もちろん佐藤さんのサインも。その後、お客様の運転する車で串間をぶらっと一周ドライブ観光させていただき(美しい海あり山ありで楽しかった)、再び駅へ。ここでお別れである。さらば!

 

三時間掛けてふたたび宮崎市内へ。昼過ぎ、宮崎空港で宮崎マンゴーを賞味した後に福岡空港へフライト。搭乗したのは小さなプロペラ機で、飛行機恐怖症の佐藤さんはいわゆるgkbr状態に。フライトは揺れに揺れ、それはこれからの旅の前途多難を彷彿とさせるのに十分だった……。




 

(第二日目 半分終了)

(written by 太田克史



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