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カテゴリ: 編集部より

記事カテゴリ:朝の最前線

楽しいシラバス

おはようございます。

『響け!ユーフォニアム』で一番好きなのは中川夏紀先輩、アシスタントエディターの石川(@seikaisha_iskw)です。

 

 

大学時代、僕はシラバスを眺めるのが好きでした。

自分の専門から専門外、過年度、他学部、他大学のものまで、その科目を履修するしない、あるいは履修できるできないを問わず、です。

 

 

シラバスの何がいいか、なんといってもまずは参考文献リストが大量に無料で手に入ること。

しかも、参考文献たりうるかの審査とトピックごとのグルーピングを、それぞれの道のプロが済ませてくれているリストです(もちろん、その担当者が信頼に足るかどうかの判断は別途しなくてはならないわけですが)。

 

様々な講義、様々な先生、様々な大学、様々な年の参考文献リストを検分し、挙げられている著作の概要を調べていくと、それだけで自分の中に地図ができあがっていくのがわかります。

そうすると視界が飛躍的に広くなる、ということは改めて言うまでもないですが……。

ある本が、無数にある書物のネットワーク上のどこに位置づけられるかを把握しておくことの重要性は、ピエール・バイヤール『読んでいない本について堂々と語る方法』(こんなタイトルですが、〈本を読む〉という営為を掘り下げる上での僕のバイブル的な一冊です)でも説かれていたことでした。

 

 

それから、予備知識ゼロの領域に足を踏み入れる第一歩としてもシラバスは有用です。

予備知識ゼロの領域に飛び込んでみようにも、予備知識ゼロであるがために飛び込み方すらわからない。そういうことはままあります。

関心領域で絞り込まずにシラバスを順繰りに見ていくと、各講義や領域におおよそのあたりをつけることができますし、ぼんやりと関心をもった講義が大当たりである可能性もおおいにあります。僕も、大学5年間でもっとも面白かった講義のいくつかにはそのようにして出会いました。

 

 

シラバスの楽しみ方、ここまで話してきたような実益重視のものはもちろん、一種のシミュレーションゲームのように楽しむのも捨てがたいものがあります。

 

現在の知識を持ったまま大学1年に戻ったらこの講義をこの順番で取る、とか自分のこの専攻だったらこう、とか受講したことのないものだけで時間割を組んでみる、と遊び方は無数です。

 

現実逃避的というか、つまらない講義を選んでしまったときや大学生活をやり直したい気分のときにまさしく現実逃避としていくつものif時間割を作ってきました。

これほど無為なこともない気がするのですが、もしその講義を受けていたらという心づもりで本を読んでいくと、思いの外はかどりました。

そもそも文学系の学部だったということもあり、勉強の基本は自学自習、主体的に本を読んでいかないとどうにもならなかったので、方策としてそこまで間違ってはいなかったのかなとも思います。

 

 

 

と、今回こんなことを書いているのは、久しぶりに出身校のWEBシラバスを見てみたら仕様ががらっと変わっていたためです。

最大の変化は、各講義に初級・中級・上級といったレベルが設定されたこと。

 

この仕組み、自分が学生だったころに欲しかったという思いが多少ある一方、無意味だとも感じてしまいます。

 

(ここまでの話はなんだったんだということにもなりかねませんが)そもそも講義とは計画通りに進まないものだし、気になる単位にしてもレベルと単位の取りやすさはしばしば相関しません。

それに、初級のほうがまだるっこしくて中上級よりも理解しづらい、なんてこともあるでしょう。

 

このような仕様変更の背景には、大学の知のあり方に対する時代の要請もあると思います。

ですが、レベルなどといった情報がマスキングされていても、いやむしろされているほうがシラバスは役に立つし楽しめるのでは。

そんなことを考えました。

(written by 石川 詩悠



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