アシスタントエディターの阿部です。

漫画家・TAGROさんの傑作短編集

『マフィアとルアー』

『DON'T TRUST OVER 30』

星海社文庫で刊行されている2作が、電子書籍版にて配信されました！

どちらも、TAGROさんによる描き下ろしのカバーイラスト、新規あとがきを収録した作品となっております。

①『マフィアとルアー』

三度目の復刊にして「定本」、2011年に星海社文庫で刊行された今作。
ライター・さやわか氏による解説が収められています。

〔収録作品〕
マフィアとルアー
モノレエル
R.P.E.
トリコの娘
6年1組
DRUG SCORE
トラベリングムード
LIVEWELL

長らく入手困難となっていた1冊が、ついに電子書籍としても蘇りました。

②『DON'T TRUST OVER 30』

中心にまとめられているのは、文雑誌『ファウスト』にて発表された名作たち。『マフィアとルアー』から10年の時を経て誕生しました。

〔収録作品〕
DON'T TRUST OVER 30
Limbo
The world is full of angry young men.
イキガミ様
昨日雨が降って、緑がきれいで、今日がお天気で、バカな君と一緒で
イキガミ様とシニガミ様
SON HAS DIED,FATHER CAN BE BORN

こちらは、TAGROさんの同級生として若き日を共有した志田英邦氏による解説が収録されています。

TAGROさんの魅力は、やはりかわいらしくてクセになるイラストレーション、
そして台詞の巧みさにあります。

『DON'T TRUST OVER 30』より、
「The world is full of angry young men.」を一部ご紹介。

舞台は精神年齢の鑑定と、その公表が義務付けられた世界。

実年齢に即した精神年齢を持つ者はエリートに、
その逆の人間は落ちこぼれとして生きていかなければなりません。

現実を見つめ、大人になろうとする少女「裕子」と、何歳になっても制服を着続ける「妙子」。
舞台設定が一見対照的なふたりの会話を引き立て、
「大人とは何か」「大人と子どもの境界はどこか」という主題を突きつけます。

一枚のCDアルバムのように、ひとつひとつの作品が圧倒的な力を持って補完し合うこの短編集。
それぞれ、雰囲気や絵柄もがらりと変化を見せます。是非、多彩な表現に触れてください。

初めてわたしがこの2作品を読んだのは10代の時でした。何度でも読み返したい、かけがえのない物語です。
「大人になれない大人」に、そして、若い皆さんにも是非読んでいただきたい作品となっております。

多くの方にこの短編集が届くことを願います！