編集部ブログ

2017年4月11日 10:04

映画『LION 25年目のただいま』

4月もいつの間にか半分が過ぎようとしています。
今年は雨が多くて、あっという間にサクラが散り始めて悲しいです。
でもその儚さも、サクラの美しさの一部なんですよね...。

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天気が悪いときは屋内で楽しめばいいじゃない!
ということで、映画『LION 25年目のただいま』を観てきました。

5歳の時に迷子になったインドの少年サルーは、路上生活や孤児院を経て、
オーストラリアへ養子として渡り、新しい家族と幸せに暮らしていました。
しかし、大人になったサルーは、自分のことを捜し続けているであろうインドの家族について思い悩みます。
そして、かすかな記憶を頼りに、Google Earthを使って25年ぶりに自分の生家を見つけ出すーー。

というあらすじなのですが、これ、実話なのです。

まず、インドの抱える人口や格差社会の問題に驚愕します。
世界第2位の人口を有するインドは、今でも年間数万人単位で子供が行方不明になっているそうです。

そんななかで、5歳の子供が迷子になって、言葉の通じない地域へ行き、そのまま海外へ養子に出されてしまう...。
30年ほど前の状況とはいえ、日本ではなかなか考えられない出来事です。


以前、インドの貧民街に関するノンフィクションを読んだのですが、
孤児や迷子の状況は深刻で、ほとんどが飢餓で亡くなったり犯罪に巻き込まれたりするそうです。
サルーのように、外国の裕福な家庭に養子としてもらわれるのはかなりラッキーな子供。
しかし、それまでの記憶を全部リセットできるわけではないので、
自分だけが西洋風の暮らしや教育を受けて幸せな生活を送ることへの罪悪感に苛まれることになります。

サルーは、Google Earthで奇跡的に生家と実母を見つけ出すわけですが、
そこに至るまでの心の葛藤がとても苦しいものとして描かれます。
「あの時こうしていれば」と思うことは多々ありますが、
サルーの数奇な半生を通してみると、やはり人生に正解はないように思います。


映画の中で、一際目を引くのは、少年時代おさないサルーを演じたサニー・パワールくんです。
くりくりの目と、幼いのに精悍な顔立ち。

5歳にしか見えないけれど、5歳とは思えない素晴らしい演技...!

最近は東京で小さい子供が一人で歩いているだけでも不安になるというのに、
インドの雑多な風景の中では、いつこの男の子が押しつぶされてしまうんだろうと思うと心配で心配で...。

「はじめてのおつかい」などで涙腺がうるうるするタイプの人は、
劇場にバスタオルを持参していくことを強くおすすめします。