ビアンカ・オーバースタディ
第一章 哀しみのスペルマ
筒井康隆 Illustration/いとうのいぢ
わたしは知っている。わたしがこの高校でいちばん美しい、いちばん綺麗な女の子だということを――。筒井康隆×いとうのいぢ 文学界の巨人・筒井康隆の最新作は本気のライトノベル!文学史上の一大事件を読撃せよ。
第一章 哀しみのスペルマ
見られている。
でも、気がつかないふりをしていよう。
気がつかないふりをしていると思われてもかまわない。
いつも見られているから平気なんだと思わせておけばいい。
実際、もう慣れっこになってしまっているし、慣れっこにされてしまっているのだ。男の子たちの視線に。みんながわたしを見る、その何かを恋い願うような視線、慕い寄るような視線、粘りつき、からみついてくるような視線に。
わたしは知っている。わたしがこの高校でいちばん美しい、いちばん綺麗な女の子だということを。
わたしは校舎の一階の廊下を歩く。運動場に面した、放課後の廊下をわたしは歩く。運動場への出口には男子生徒たちがたむろしている。コンクリートの段や木の廊下の床にべったりと座ったり、壁や柱にもたれかかったりして、運動場からは廊下との境の窓越しに、歩いていくわたしの姿を見ている。行く先ざきでそれまでの話し声がやみ、沈黙の中でわたしを見つめる。聞こえるのは時おりごく、と唾を飲み込む咽喉の音と、「ビアンカ」「ビアンカ」とわたしの名をささやき交わす声だけ。
わたしは二階への階段をあがる。
その階段の下からも、わたしを見あげている男の子がいる。踊り場にも何人かがべったりと座っていて、前を通り階段をあがっていくわたしを見つめる。
わたしの高校の制服はブレザー。その制服のスカートは短い。
でももう困ったり、顔を赤くしたりすることはない。わたしは平気になってしまったのだ。そんな男の子たちの視線も、もういやらしいとさえ思わなくなってしまった。
二階の、生物学教室の隣の、教材置き場を兼ねた小さな実験室へわたしは行く。放課後はここへ来るのがわたしの日課だ。たった二人しかいない生物研究部員の、わたしは部員なのだ。
ああ。また、あいつがいる。
ドアの前の廊下、ドアの向かい側の窓の下にべったりと腰をおろして本を読んでいるのは、一年下の文芸部の塩崎哲也。可愛いやつだ。この高校でわたしがいちばん可愛いやつと思っている男の子だ。色の白さや睫毛の長さや黒眼ぱっちりなど、まるで女の子みたいだが、顔立ちそのものはやっぱり男の子で、さわやかで涼しげな細おもての少年だ。この子は文芸部で詩を書いているらしく、クラスメイトが教えてくれたところではそれは恋愛の詩ばかりで、どう読んでもわたし、つまりビアンカ北町としか特定できないような女の子への讃美と愛をせつせつと謳いあげたものなんだという。クラスメイトは一度だけ文芸部で出している雑誌の一ページを見せてくれたが、それはこのようなシロモノだった。
あの流れ落ちる栗色の髪は
時に束ねられるあの栗色の髪は
どんなにあまやかな香りに満ち
どんな安らぎの匂いに満ちていることか
屹とした大きな黒い瞳が
ほんの一瞬こちらに向くと
心臓は熱く泡立ち
気がつけばその美しさに涙しているのだ
ああ ああ
この学園にただひとりの
異国の血を持つその人こそは
わが天使 わが女神
「甘ったるくてこれ以上はとても読んじゃいられないぜ」わたしはその雑誌をクラスメイトの胸へ叩きつけるように押し戻したのだった。
わたしが生物学実験室へ来る時間にはいつも、ドアの前の廊下、ドアの向かい側の窓の下にべったりと腰をおろして本を読んでいる文芸部の塩崎哲也は、一度もわたしに話しかけたことはない。わたしも彼に話しかけたことは一度もない。彼がわたしに話しかけることができないのは、あまりにもわたしを愛し過ぎていて、気おくれしているからだし、それを知っているからこそ、わたしも彼に話しかけることができないのだ。
でも最近では、といってもほんの二週間ほど前からのことだけど、わたしは彼に笑顔でうなずきかけることができるようになった。最初はどぎまぎしていた塩崎も、何度めかののちにはぎこちない笑顔でわたしにうなずき返すことができるようになった。これってやっぱり、気の小さい塩崎にとっては凄い進歩なんだろうと思う。そして彼はわたしにうなずき返したあと、あいかわらずべったりと廊下に腰をおろしたまま、眼をきらきらさせて生物学実験室へ入っていくわたしを見送るのだ。
生物学実験室はふつうの教室の半分くらいの広さで、人体模型だの鳥の剝製だの標本箱だの図鑑類の並んだ本箱だの水槽だの冷蔵庫だのが周囲にごちゃごちゃと置かれ、中央には実験用の大きな机と事務用の椅子などがある。
いつものように誰もいなかった。
だいたい高校のクラブ活動で生物学の実験をやろうなんて物好きはあまりいない。だから部員はわたしともうひとり、千原信忠という、わたしより一年上で三年生の男子生徒だけだ。この子は実験よりも小型の爬虫類や両生類の採集が好きなので、めったに実験室には来ない。
顧問で生物学教師の工藤先生も、放課後はすぐに帰ってしまうことが多い。なんでも遺伝学会の事務をやらされていて、それが忙しいのだそうだ。
と、いうわけで、生物学実験室にはたいていわたしひとりだ。好きな実験を誰にも邪魔されず自由にできるというのは、ほんとにすばらしい。
わたしが研究しているのはウニの生殖だ。なんでウニなんか、と思うだろうけど、ウニは手に入れやすいし、観察しやすいし、成長過程も早いというのがその理由だ。バフンウニは一月から四月、ムラサキウニなら六月から八月、コシダカウニなら七月から八月、アカウニなら十月から一月が発生時期だ。みなが食べているのはウニの生殖巣で、だからウニの中身のおいしいところ、あのほとんどは生殖巣、つまり精子か卵なのだ。
まずバフンウニの刺をチョンチョンと鋏で切ってから、天辺にある口器の、管足という部分の先端を見る。白い色をしているので、これはオスだということがわかる。メスはオレンジ色をしているのだ。
生殖穴を下にして、ビーカーの上に置く。ビーカーには海水のかわりの生理食塩水が入っている。次にバフンウニの天辺の口器に注射器の針をブスッと差し込む。注射器の中には塩化カリウムが入っていて、これを注射してやると、精子がパーッといっせいに下から生理食塩水の中へ散らばって逃げる。これがほんと、面白いのだ。
次に管足の先端がオレンジ色をしたバフンウニを探して、同じようにする。ビーカーの中へオレンジ色の卵がパーッと逃げるのを見るのは美しくてこれも楽しい。
それから精子と卵をスライドガラスに乗せて、実体顕微鏡で受精の様子を見る。実体顕微鏡というのはとても高度で高価だから、ふつう高校の生物学教室などにあるようなものではない。でももうひとりの部員の千原先輩が、大学の研究室にいる従兄のところから何やかやと貰い下げてくるので、わりと高度な実験器具が揃っている。
でも、ほんとのところ、こうしたウニの実験に、わたしはちょっと、飽きてしまっているのだ。
たしかに工藤先生からは、研究テーマをあたえられてはいる。バフンウニの卵の方には厚いゼリー層があって、そこには溝が観察される。これは精子の通り道ではないかと思われているらしいが、その働きはまだ不明なのだ。これを解明しろと言われているのだけれど、大人の研究者にもわからないことが高校生にわかるわけはないので、これはわたしの手にあまる。
やっぱり、人間の生殖の仕組みを見たいなあ、と、これは前からの夢なんだけど、切実にそう思っている。
しかし人間の精子を観察するには、あたり前のことだけど、精子を提供してくれる男性が必要だ。精子をくださいと頼んで、よしよしと言ってすぐにくれるような男性など、いるわけがない。だからこそしかたなくウニの観察などをやっているのだ。
わたしはふと、この部屋の前の廊下にべったりとすわりこんで、わたしが出てくるのを待っている塩崎哲也のことを思い出した。
あいつなら、あの塩崎なら、わたしの言うことに何でも従うんじゃないだろうか。そう考えついたとたんに、もうわたしはじっとしていられなくなった。何でも言うことを聞いてくれそうな男の子が、どうぞいつでも、何でも言いつけてくださいと言うように、前の廊下にべったり腰をおろして待っているんじゃないか。なんで頼まないんだ。なんでそれを、今まで思いつかなかったんだ。
廊下への戸を開けると、ずっと同じ姿勢で本を読んでいたらしい塩崎は、はっと顔をあげ、何かを期待する眼でわたしを見あげた。まだわたしが帰る時間ではないと知っているので、もしや自分に話しかけてくるのではないかと期待している眼だ。
わたしはさすがに、ちょっとためらったものの、思いきって彼に言った。「あのさあ、実験、手伝ってくれないかなあ」
塩崎の表情がぱっと明るく開いたようになり、ほとんど泣き出しそうな声で「はい」と言うと、彼は立ちあがってわたしのあとから実験室に入ってきた。授業時間中に何度か入ったことがあるらしく、生物準備室でもある実験室の中を、彼はさほど珍らしそうに眺めまわしたりすることはなかった。
「あの、先輩。それで、おれはあの、何を」
おどおどと、不安と期待の混じった声で塩崎はわたしに訊ねた。
「そこへ掛けて」わたしは彼を事務用の椅子に掛けさせた。
どう切り出していいか、わたしはちょっと悩んだ。結局、科学的に、事務的に、直截に話した方がいいと思って、わたしはゆっくりと、そしてずばりと言った。「生殖の研究をしてるの。それで、研究材料にあなたの精子が欲しいの」
「はあ」最初はよくわからないようだった。それから、えっと言ってわたしの顔を見つめた。
わたしが彼の顔を見つめ返しているうち、彼の顔にはだんだんと血の気がのぼり、椅子の上でちょっとふらりとしたようにからだを傾けた。
「精子ってあの、あの、あの」
「そうよ。精子よ」
「だけど、どうやって」
「そこで、出して」
見る見るうちに彼のパンツの股間の部分がふくれあがった。ははあ。こんなことくらいで勃起するんだ、と、わたしは感心した。
「でも先輩」その股間を両手で押さえ、塩崎は泣きそうな顔で言った。「おれ、恥ずかしいです」
「恥ずかしいこと、ないって。誰も見てないし」
「でも、先輩」
「先輩はやめなさい」と、わたしは言った。「ビアンカでいいから」
「ビアンカ、さん。いやあの、ビアンカ様」と、塩崎は言った。「おれ、やっぱり、恥ずかしいです」
彼は「ビアンカ様」と嬉しそうに言ったので、こいつには命令した方がいいんだ、と、わたしは悟った。「いいから、ペニスを出しなさいっ」
「はい。はい。はいっ」彼は急いでパンツの前のチャックをおろした。勃起しているためか、陰茎はなかなか出てこなかった。
出てきたものの大きさにわたしは驚いた。こんなに大きくなるものとは想像もしていなかったのだ。「でかいっ」
わたしがそう叫ぶと塩崎は耳まで赤くなった。「すみません。いや、あの、ありがとうございます。いや、あの」彼は陰茎を両手で隠し、わたしを見あげて訊ねた。「それであの、おれ、これからどうしたら」
「どうしたらって、出しなさいよ。精液を」
塩崎は身もだえた。「そんなあ。恥ずかしくてできませんよう。ビアンカ様の見てる前で、自分でなんか」
「なら、わたしがやったげる」この子なら可愛いから、自分の手で射精させてやることもできるだろうと、わたしは思ったのだ。嫌いな男のペニスなんて、箸でつまむのもいやだもんね。
わたしはもう一脚の椅子を彼の前に置き、向かいあわせに掛けた。
わたしは鞄の中にコンドームを、常に持っていた。それは実験とかのためではなく、わが身を護るためだった。わたしみたいに可愛い女の子だと、いずれは危機が訪れるに決まっていて、どうしてもそんな状況になった時には、からだを与える相手に懇願して、つけてもらうつもりだったのだ。
包装紙を破り、ゴム製品を取り出した。最近の製品の中には先端部分の精液溜まりに精子を殺す薬液が塗布されていたりもするが、さいわいこの製品はそうではなかった。わたしは彼の手を払いのけて、太くて長くて、かちんかちんに固くなっている彼のペニスにそれを装着した。ペニスには青筋が膨れあがっていた。ほんとは根もとまで包んでしまうらしいのだが、その必要はないし、精子が取り出しにくくなるので、半分くらいまでをゴムでくるんだ。
そうしている間にも塩崎は歯を食いしばるようにして、あたりを見まわしたり天井を仰いだりして、「あは」とか「うっ」とか言いながら苦しげにかぶりを振り続けていた。我慢できなくなって、ゴムをつけている途中で出してしまうんじゃないかと思ってわたしは心配した。
「えっと。こうするのかな」
わたしが右手でゴムの上から亀頭の部分を握りしめると、塩崎はあああと言って眼を丸くし、わたしを見つめた。前後に摩擦すればいいんだってことはわかっていた。わたしがゆっくりと、ゴムがはずれないように強く握ったままでこすりはじめると、彼はぞくりと背中をしゃくりあげるように動かしてから、うわごとのように何か言いはじめた。
「あっ。女王様。あの。それはもう、あれです。こんなことが。自分ではとても、とても女神様、とても我慢なんて。これはもう。ビアンカ様。あれは、もう」
突然、彼はわたしを大きな眼で睨みつけたまま、必死の形相で勢いよく自分から、腰を前後に激しく揺すりはじめた。四、五回揺すってから彼はのけぞり、苦痛に満ちた表情で眼を閉じ、「いた」と叫んだ。「痛」と言ったのか「イった」なのか、わからなかった。その表情はとても可愛らしかった。
その途端、わたしの手の中の、コンドームの精液溜まりが勢いよく、大きくふくれあがった。掌がすごく熱くなったので、わたしは思わず「あち」と、叫んでしまった。
塩崎はわたしの顔を恨めしげなうわ目遣いで見つめたまま、さらに二度、三度、ぞくりぞくりと背中を波打たせ、そのたびに、さらに少しずつコンドームをふくれあがらせた。
ほうっ、と、吐息をつき、すすすす、と、鼻で息を吸い込んでから、彼は眼を閉じて椅子の背にもたれ、ぐったりと四肢の力を抜いてしまった。
「わあ。たくさん出たあ」
わたしは大喜びで、すぐに彼のペニスからコンドームを剝ぎ取り、実験台の上のシャーレの中へ精液を絞り出した。培養皿とも言われているガラス製のシャーレには、生理食塩水が入れてある。わたしはシャーレを実体顕微鏡に載せた。この顕微鏡は観察対象をスライドガラスに載せなくても、焦点をあわせさえすれば全部を立体的に見ることができるのだ。
泳いでいる。
泳いでいる。
何百万、何千万の精子が泳いでいる。
多い時には一億にもなるという凄い数の精子の、もちろんすべてを見ることはできないんだけれど、精子の数の多さとその元気さだけは、初めて観察するわたしにもはっきりとわかった。それは尻尾が細くて長いおたまじゃくしの群れだ。頭を振り、尻尾を振り、いずれも元気よく、力強く泳いでいる。わたしは感動した。この一匹一匹が人間になる可能性を秘めているのだ。そう思うとこの精子たち、精虫と言った方がぴったりしそうなこの虫たちが、いとしくてたまらなくなった。
「ねえ。見ない」そう言って塩崎を振り返った。
聞こえなかったのか、塩崎はあいかわらず椅子に掛けて眼を閉じたまま、ぐったりしている。その口もとには満足げなうす笑いが浮かんでいた。きっと射精による快感の、あと味? 余韻? そんなものに浸っているのだろう。男性なんて、放出してしまえば、あとの成り行きがどうなろうと、どうでもいいんだってことがよくわかった。
顕微鏡の接眼部にまた、眼を近づける。勢いよく泳いでいる精虫たちを見まもるうち、わたしはだんだん哀しくなってきた。この子たち、行き場がないんだ、と、気づいたのだった。卵を求めて激しく動きまわっているものの、その卵はどこにもない。どこにもない卵を求めてむなしく彷徨しているうち、この子たちは死んでしまう。勢いよく泳いでいる子ほど早く死んでしまうらしい。だってこの子たちは外から栄養を取ることができないんだ。自分の中に貯えられたATPというエネルギーを使い果たしてしまえば、もう死ぬしかないんだ。だからこの子たちは世界最初のモーター、なんて言われていたりする。生きていられるのは、温度などの環境にもよるけど、半日から一日くらいの時間だという。明日の放課後、ここへ来て見ても、この子たちは間違いなく、みんな死んでいるのだ。なんて哀しい運命なんだろう。
わたしはいつの間にか涙ぐんでいた。
この中の、たとえ一匹だけでも生き残ることが、この子たちの本来の使命なんだ。だからここへ、卵を一個でも落としてやれば。
あっ。
そこまで考えて、わたしは急に、今日が生理日だってことを思い出した。排卵して生理になって、その最初の血の中には排出された卵子がある筈だ。今夜あたり、月経の血といっしょに卵子が出てくる筈なのだ。卵子の大きさは一ミリの五分の一から十分の一、つまり〇・一ミリくらいだから、なんとか肉眼で見える。人間の細胞の最大のものと言われているのだから、月経の血の中から見つけ出すことは不可能じゃない。
試験管が一本だけ入る、小さな保冷容器をわたしは鞄の中に入れた。これも千原先輩が大学の研究室の従兄から貰い下げてきてくれたものだ。卵子は耐凍剤処理をしてガラス化液に入れ、この保冷容器でマイナス百五十度Cくらいで保存しておける。
魂をどっかへ飛ばしてしまったようにぐったりしたままの塩崎を揺すって、わたしは言った。「塩崎。帰るよ」
「あっ。はい。はい。はい」塩崎はあわてて立ちあがり、正気に戻ろうとするみたいに、ちょっとあたりをうろうろした。それからわたしを見て直立不動の姿勢をとり、口ごもりながら言った。「あっ。ビアンカ様。あの。今日はどうも、ありがとうございました」
「いいから」わたしは彼といっしょに生物学実験室を出ながら、できるだけ事務的に、軽い口調で頼んだ。「あのさあ。明日もまた放課後、ここへ来てくれないかなあ。それでもって、もう一回、精子を採取させてほしいんだけど」
「あっ。明日も」塩崎は泣き出しそうな笑顔という変な顔になった。「あっ。それは大丈夫です。いやあの、ありがとうございます。あの。必ず来ます。それはもう、必ず来ますから」
第二章以降につきましては、書籍にてお楽しみください。
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