編集部ブログ作品

2014年3月 4日 13:40

三国志キャラクター稿遊記 ⑪

■儚さを描く(呂布と貂蝉の話)    

  

今日は表紙の絵の話をしようと思います。イラストを依頼される時に、描き手(僕)がはじめの一歩、又はその一歩目を踏み出す前に、少し構える絵が、表紙や扉絵といった類いの絵です。なぜかというと、本やゲームなどその作品の‘顔’にあたり、手に取って下さる方が一番最初にその作品に触れる部分だからです。

1巻では熱い男同士の勇ましいイラストを描きましたが、2巻ではがらりと絵の趣きを変えました。呂布(りょふ)という勇ましく強い1人の武将の栄枯盛衰を一枚の絵の中に描きました。

たった一枚の絵の中に、栄枯盛衰を盛り込むという事は、結構骨が折れ、それは構図だけでもなければ、絵柄だけでもなく、ましてや描きこみだけでもなく。


キャラクターそのものに大きく心をあずけるところからやっていきようやく絵になりました。


儚さ(はかなさ)や切なさ、そして人の運命とは不思議なもので、強い武将が必ずしも長生きするとは限らないのです。強くも不器用な呂布という勇将に想いを馳せました。

僕は、読者が三国志を読み終わったのち、「あー読み終わったー!」と文化的なスポーツ後の様なさわやかさと小さな達成感で、ふと表紙に目を移すと「本当にこの絵のとおりの物語だった」と何となくでも感じて頂けたらいいなという思いを込めて描いています。

読了の時、再び表紙をふと、、みてみて頂けたら感無量です。


呂布考察中イメージ/ 呂布という強くも不器用な偉人を思案する。イラスト 土林誠


 

 

星海社文庫 三国志(一)