編集部ブログ太田克史のセカイ雑話
2012年2月17日 20:58
だからこそ、強く振ろう。仕事の真の「実力」はいかにして培われるか!?
星海社では今、新規メンバーの面接をしている。履歴書を募り、そこから選抜して面接して……もちろん講談社時代にだって毎年のように新卒採用のお手伝いをしていたけれど、ひとつ決定的に違うことがある。それは星海社の場合は新卒・中途の別なく募集をかけているので、様々な経歴と年齢の人から「これだ!」という人を選ぶことになるということ。
そこでポイントになってくるのが、「若さ」と「経験」との天秤だ。人間の資産の要素は、煎じ詰めればこの二つに還元されるんじゃないかな。
誰もが持っているのが「若さ」という資産なんだけど、この資産は時と共に目減りして行ってしまう資産であって、誰にもその目減りを止めることはできない。だから僕たちは「若さ」という資産を、「経験」に変えていかなければならない。そして僕がこんな気持ちになったのは、星海社で採用活動を始めてからのことだ。履歴書は、残酷だ。
僕からあなたにひとつアドバイスがあるとすれば、とくにまだ20代の若い人は、(僕は20代ならば無条件で「若い」と言っていいと思う)、とにかく“一発”を狙っていくべきだと思う。ここで言う“一発”とは業界で名刺代わりになるような大きな仕事のことだ。一方で、地道に仕事をして地力を蓄えていくのはとても大事なことだと思うけれど、この“一発”がないままで30代に入ってしまうと、“一発”をかました同年代とは履歴書的に言ってぐっと差が開いてしまう。
経営者の視点から言っても、20代は「若さ」=「可能性」を中心に見て採用を考えることができるけれど、30代、40代は「経験」=「仕事」を中心に見て採用を考えざるを得ないのだ。
だからこそ、20代には強振してほしい。強く振らなきゃ、遠くまで飛ばないだろ!? 振ろうぜ!!
……というわけで、もしたとえばあなたが編集者だったら、20代のうちに、大きな勝負ができる大きな作家さんに一度は食いついていくべきだと思う。もちろん、20代だからあなたには「若さ」はあっても「経験」はないし、大きな勝負を前にしてつい臆してしまう気持ちはわかるけれど、最初に言ったように「若さ」は資産なんだ。「経験」を積んだ作家さんが失くしてしまったもの=「若さ」を、まだあなたはふんだんに持っている。だからきっと、勝負になる。というより、「若さ」のある今のあなただからこそ勝負になるのだ。
理想論としては、大きな勝負ができる実力があるようになってから大きな勝負をする……のが筋であるんだろうけれど、そんな理想的な状況は、人生において、実は滅多にない。人間は常に実力不足で状況に立ち向かうしかないようになっているし、真の実力というものは、つねにそういった実力不足の状況で勝負をしながらつけていくしかないものなのだ。
だからこそ、強く振ろう。もちろん、僕も振っていくよ。