編集部ブログ夜の最前線
先日『TED』という映画をみてきました。
この映画は有名なハリウッド俳優が出演していない、おまけにR15+指定であるにも関わらず、日本で観客動員100万人を超える大ヒットとなっています。(連日満員で、私も3回目の挑戦でやっと鑑賞することができました。)
こうした『TED』の異例ともいえるヒットの要因は、字幕の影響が少なくないと思います。というのも、アメリカと日本の文化の差を感じさせない工夫が字幕にほどこされているからです。
これは、ゆくゆくは世界を相手に戦いたい星海社としては大変興味深いこころみだったので、ご紹介したいと思います。
YOUTUBE 公式TED動画
『TED』では、アメリカ人にとってはお馴染み、でも日本人にとっては全く馴染みのない固有名詞やローカルネタがバンバン出てきます。なので、もしこれらが直訳されたら、観客はチンプンカンプン。「今のは何だったんだ」と、映画に集中できなくなってしまうかもしれません。
こうした文化の壁を少しでも減らそうと、『TED』では、アメリカローカルネタが日本でお馴染みのものに置き換えられています。例えば、主人公がテッドに向かって言った「お前よりテディ・ラクスピンが欲しかった(アメリカで昔売られていたぬいぐるみ)」という台詞は、日本では「お前よりくまモンのほうがいい!」となっています。確かにこの方がぐっと想像しやすいです。
(詳しくは、字幕監修を担当された町山智浩さんのブログをご覧ください http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20130120)
日本のマンガや小説を海外に輸出するのならば、『TED』でこころみられたような文化の壁を低くする工夫について今後、より深く考えなければいけないと思いました。
もちろん、あえて直訳することで他国の文化を侵略するほどのムーブメントに成長することもあるので、何でもかんでも意訳すればいいというわけでもありませんが。
「作品が異文化の壁をどう超えるべきなのか」という試みはもちろん、作品としても下品で(褒め言葉です)馬鹿で(本当に褒め言葉です)最高に笑える映画です。『TED』オススメです!!