編集部ブログ夜の最前線
額の上まで借り上げた頭。
鋭角につり上がった眉。(しかも眉毛が4つもある!)
真っ赤なルージュからはいつもお下劣な言葉が飛び出している“自分は世界で最も下品な人間である”と。
体重100キロを越える巨漢を恥ずかしげもなく晒し、観客の悲鳴やら罵倒やら賛美を全身で受け止める。
その怪物の名は、デヴァヴァインといった。
男でも女でもない。性別を越境し、ドラァグクイーンの元祖的存在となったディヴァインは如何にして誕生したのか?
知人の証言や出演作品を基に、ディヴァインの素顔に迫るドキュメンタリー映画『伝説のディヴァイン』(現代『VITO』)をご紹介したいと思います。
7月12〜15日にスパイラルホールで開催された「第22回東京国際レズビアン & ゲイ映画祭」で観てきました。
なんと『ジセダイ』の「ジセダイセレクション」のレギュラーセレクターである牧村朝子さんのメッセージパネルが展示されていました。
すごく素敵な文章なので、まだこちらで読めるので是非ご覧になってください!
そもそもドラァグクイーンって何? という方も少なくないと思うので、一言で説明すると、
ワンピースのイワンコフです!! ドン!
※顔が一番おおきいキャラクターが「イワンコフ」です。
ど派手な衣装やメイクで、ある種の「女性性」を過剰に演出して己の性別に囚われずどこまでも自由を追い求める人達のことですね。
そんなドラァグクイーンの元祖的存在であるディヴァインさんの一生を振り返るのが、このドキュメンタリー映画『伝説のディヴァイン』です。
親との確執や、「イロモノ」としてでしか認められない苦悩等々。
ディヴァインの以外と真人間な側面をフォーカスしながら、彼のフィルモグラフィーを紹介するという、構成として超手堅い作りをしています。
しかし注目すべきは、ディヴァインが活躍した70’sアメリカの雰囲気……というよりはピッピーブームの狂気がきちんと紹介している点です。
とにかく当時の若者がぶっ飛びすぎてて面白い!
最近の若者がTwitterの軽犯罪自慢してけしからん! とか、70年代に比べりゃかわいいもんですよ。
「自分らしさ」を表現することに熱狂していた時代だったからこそ、性別や常識に縛られず、醜さを堂々と表現するディヴァインは、愛されるべくして愛されたのだと実感しました。
ディヴァインって「他の誰かになりたい」と思うことから完全に解放された、初めての人間だったんじゃないかしら。
このエントリを読んで、皆さんが少しでもディヴァインに興味を持って頂ければ嬉しいのですが、
彼が出演する映画はキワモノばかりなので(それ故カルト的人気があるのですが)鑑賞する際はよく注意してください。
おそらくトラウマになることでしょう。