編集部ブログ夜の最前線
こんばんは。 アシエディの林です。
気が付けば、1週間近くブログの更新をお休みしてしまいました……ごめんなさい!
さて、金曜日なので映画の話をしたいと思います。
今回は2本立て!
『クロユリ団地』と『コードネーム:ジャッカル』を紹介します。
どちらもアイドルが主演している作品なのですが、
アプローチの違いがはっきりと現れていて、非常に興味深かったのでちょっと考察したいと思います。
まずは、『コードネーム:ジャッカル』!!
元「東方神起」、現在「JYJ」のキム・ジェジュン(以下JJ)が主演の映画です。
これほど完璧なアイドル映画が近年あっただろうか……っ!
まず現役アイドルであるJJが、映画の中でも売れっ子アイドル役を演じています。映画の設定を現実に近づけることで、作品のリアリティを担保されてるわけです。
主人公はトップスターであるが故に、粘着質なファンに襲われたりするんですが……。これ、JJのリアル私生活そのまんまなんですよ! ギャグ要員でストーカーが出てくるんだけど、ちょっと笑っちゃっていいのか戸惑いました(笑)。
しかしまぁこうして、映画の中の主人公≒現実のJJと(半ば意図的に)読み違えとこで、この作品をドキュメンタリックな目線で楽しめるわけです。
主人公は縛られたり、鞭で叩かれたり、ズボンを下ろされたり……こんな状況でアイドルはどんな表情を見せるのか!? というアトラクションとでも言わんばかりに受難(という名のサービスシーン)を次々盛り込んで
「普段見ることのできないアイドルの表情の機微を見せる」ことに集中しています。
その証拠に、ヒロインは明らかに見ていてイラッとするキャラクターにされています。いわばメインの料理を引き立てるパセリ! 徹底して目立ったことをさせず、むしろ嫌われ役です。
『コードネーム:ジャッカル』は主演するアイドルのための、アイドルによる、最高の “アイドル映画”でございました。
そして対するは、『クロユリ団地』!!
前田敦子さんこと、あっちゃんが主演しているホラー映画です。
「遊ぼぉよ……」というCMがバンバン流れてますね。原作なしのオリジナル脚本のホラー映画が、これほど大金をかけて制作されることはもうしばらく無いんじゃないかしら。
元々、日本のホラー映画ってアイドルを起用するケースが多いですね。
『クロユリ団地』の共同脚本をされている三宅隆太さんが以前ラジオで、
アイドルを起用することで、必然的に客層のメインターゲットは主演しているアイドルのファンになる。そのため、ファンは役者(演じているアイドル)に集中して映画をみるから、微細な表情の変化をくみ取ってくれる。だからホラー映画とアイドルは非常に相性がいい、という旨のお話をされていました。
つまり先程紹介した『コードネーム:ジャッカル』よろしく、これまでの日本のホラー映画も、役者が普段見せない表情を引き出すことで作品を盛り上げていたんですね。
だがしかし!!
この『クロユリ団地』、アイドル映画とみせかけてアイドル映画に非ず!!
というのも、微細な表情で恐怖を演出することをはなから目的としていないからです。だからといって、『リング』や『呪怨』といった、インパクトのある幽霊でビックリさせて怖がらそうともしていない……。
幽霊や呪いを怖がるのではなく、生きている人間が死んだ人間に固執することで生まれるせつなさや絶望といいましょうか。
清水崇監督の『呪怨』以降停滞していたJホラーが、遂に次の段階に進んだと感じました。
とにかくこのような前衛的な作品に体当たり挑戦した前田敦子さん! アイドルが「ギャーーー!!」と叫ぶことで楽しませるという配役ではありません。キャラクターのバックボーンを体を張って表現しています。あの絶望フェイスは、アイドルじゃできないね!
詳しくはネタバレになるので言えませんが、新しいJホラーのかたちを『クロユリ団地』は作り上げようとしていると同時に、アイドル映画としても一皮むけた作品であると思いました! オススメ!