編集部ブログ夜の最前線

2013年3月22日 21:38

『愛、アムール』からフックの重要性を考える

金曜日なので映画の話をしますよ〜。

こんばんは、アシエディの林です。

 

今回はアカデミー賞外国語映画賞を受賞した『愛、アムール』をご紹介します。

 

これまでご紹介した映画はアクションものばかりだったので、

「こいつアクションしかみない脳筋だな」と思っている方も多いと思われますが、

ノンノン! 今回はしっとりヒューマン系ですよ。おフランスの映画ざんす!

 

映画『愛、アムール』予告編

あらすじ:パリ在住の老夫婦。仲睦まじく暮らしていたが、妻・アンヌが病で倒れたことで夫婦の日常はすこしずつ狂い始める。自宅介護を始めるも、少しずつアンヌの状態は悪化してしまう。自我が崩壊してゆく妻を見て、夫・ジョルジュがとった決断とは――?

 

映画を見終わった直後、

 

物語に集中させるための推進力って超重要!! って心の中で叫びました。

 

映画って、1〜2時間かけてオチに向かうわけですよ。

物語のゴールより前に観客が飽きてしまわないように、

タイムリミットや伏線といったフックを細々と入れて、巧みに観客の集中力を維持させるんですよ。

こういったフックが積み重なることで、物語全体を盛り上げていきます。

 

で、本作『愛、アムール』では、そのフックがほぼ無いんですよ!

大きな決断を迫られる終盤まで大きな事件やトラブルなし!

いや、実際トラブルは起きているんだけど、全て淡々と流れていくんですよ。特に解決もされないまま。

この静かに圧迫されて窒息していく感じ。大変堪え難かったです……。

主人公の鬱々とした気持ちを、これ以上なく生々しく疑似体験できたけどね!!

 

本作のように、あえて物語に起伏を抑えて、ショッキングなオチ!! ってアイディア一発勝負の作品はあってもいいけど、好きで何度も見返したりする作品にはなり得ないのではないかと個人的には思います。

 

私が何度も見返してしまうのは、

見ているだけで、喜怒哀楽の感情をめまぐるしく入れ替えさせられるようなフックが仕組まれた映画ばかりです。

だってこういう映画の方が、見た後に元気になれるもの!

劇場を出たあと、この世界がちょっぴりエキサイティングに変化した気がしませんか?

 

人を物語に集中させるためにはフックが必要不可欠。

このメソッドは映画も書籍も同じはずです。

 

どうすれば、少しでも多くの読者を引き込むフックを作れるのか?

これから編集者として、どんどん探求したいと思います。