編集部ブログ夜の最前線
2018年6月13日 21:00
校正・校閲のプロフェッショナル鴎来堂の仕事の流儀
こんばんは!アシエディの有馬です。
昨日は、校正・校閲の専門会社鷗来堂の栁下さんに「校正・校閲」にまつわることと「〝ミス〟をしない働き方」について、新人アシエディの二人のためだけに講義をしてくださりました。
阿部も同じく講義の内容を記事にしていましたね。
今回の記事では、講義のふりかえりも兼ねて少しだけ内容を紹介していきます。
<そもそも校閲とは?>
栁下さんいわく、ひとことで表すのであれば「校閲とは間違いを見つける技術」のことをいうそうです。
作品のなかで、間違った情報によって読者が誤読してしまうことを防ぐために役割が果たされます。
ただ、〝間違い〟といっても様々なものが含まれ、7つの種類に分類できるのです。
1. 誤字・脱字・衍字(えんじ)
2. 表記統一
3. データ・固有名詞
4. オペレーション・ミス
5. 体裁
6. 整合性
7. 差別語・不快表現
(これで合ってますかね...?記憶が曖昧で少し不安が残っています。)
これだけの種類の間違いを校正・校閲担当者は見つけなければならないのです。
これらの間違いを見つけるためには、専門的な技術が必要で努力なくして身に着けることはできません。
<校正・校閲の基本的な二つの技術>
間違いを見つけるためには、二つの重要な要素があるそうです。
1. ひと文字ずつ確認する必要がある
2. 集中力を一定に保つ必要がある
この二つの技術が必要となるのですが、動物である人間には本来できないことなのです。
人間は誰しもパターンで認識しており、ひと文字ずつ読むことができません。Typoglycemiaという人間の認識におけるひとつの現象があります。それは、最初と最後の文字さえあっていれば、単語を構成する文字を並べ替えても読めてしまうことなのです。
※参考:[Typoglycemiaとは (タイポグリセミアとは) 単語記事 - ニコニコ大百科](http://dic.nicovideo.jp/a/typoglycemia)
つまり、人間の脳の働きとして、一字一字を見て読んでいるわけではないのです。それが一つ目の理由となります。
二つ目の理由は、当たり前のことですが集中力を一定に保つことは誰にもできません。間違いを発見すると、緊張感がほぐれて次の間違いを逃してしまうことが多々あるそうです。校正・校閲担当者の方々は、この集中力を一定に保つために色々な努力をしているようです。
では、これらの問題がある中で校正・校閲担当者はどのように間違いを見つけているのでしょうか。
<どうやって間違いを見つけているのか?>
それはシングルタスクを実践しているそうです。さきほど挙げた7種類の間違いですが、似たような見つけ方とそうでない見つけ方があるのです。虫の目が必要なものもあれば、鳥の目が必要なものもあります。
そのため、似たような間違いの見つけ方をするものに絞って確認するようです。
つまり、間違いを見つけるために最低でも2回以上は作品に目を通さなくてはならないのです。これってかなり集中力が問われる作業ですよね。僕にはできる自信がありません。
本当にすごいことだと思います。
<本の制作現場にはプロフェッショナルがたくさんいる>
校正・校閲担当者の存在は完全なる黒子であり、黒子であることに価値があるようです。
読者がちゃんと読めるということは、校正・校閲担当者がしっかりと仕事を成し遂げたことになります。一方で、間違いが作中に見受けられた場合は校正・校閲担当者にミスがあったことになります。良い仕事は気付かれずに、ミスが出てしまったときには気付かれてしまうのです。
このような緊張感あふれる現場の仕事術に学ぶことはたくさんあります。
特に、集中力については本当に参考になりました。常に自分がベストパフォーマンスをできるように、身体をつくっている姿はカッコ良さしか感じません。
今回は校正・校閲の基本的なことをまとめましたが、講義ではもっと具体的な内容まで切り込んで色々とお話ししてくださりました。本当に学ぶことばかりでしたので、今から僕も昨日学んだことを糧にしていきます。
それではまた。