編集部ブログ夜の最前線

2021年1月21日 20:56

【斜線堂有紀さん緊急インタビュー!】朗読劇『池袋シャーロック、最初で最後の事件』、驚愕の誕生の経緯とは!?

声優・浪川大輔さんを館長に迎え、新進気鋭の声優陣が集結する朗読劇プロジェクト「READING MUSEUM」が始動。
9月にMixalive TOKYOで上演され、好評を博した第1弾企画『池袋ナイトアウルテールズ』に続き、第2弾企画となる『池袋シャーロック、最初で最後の事件』が発表されました。
  
429.jpgその脚本を務める注目株のミステリー作家・斜線堂有紀さんに、『池袋シャーロック』誕生の経緯と見所をうかがいます!
  
  
──『池袋シャーロック』、どんなオファーがきっかけで執筆されたのでしょうか。
  
正直、その頃は限界まで忙しかったので記憶が飛んでるんですけど。
昨年の6月にO田さんに呼び出され、何故か浪川大輔さんもいて、何か謎の応接室に行ったら銅像がいっぱい並んでて、「講談社の偉い人になると銅像になるんだな。ここで殺人が起こるとなったらあれ使われるんだろうな」と思ったことだけ覚えています。
この記憶だけが鮮明にあるのは、この記憶をダイレクトに今回のトリックに使っているからです。
  
  
──6月にオファーがあって、1月に上演......執筆スケジュール、きつくありません?
  
キツいなんてものじゃありませんでした。
何がキツかったかというと、〆切一週間前に何故か本数が3倍になったことです。
元々は全2回の公演の予定だったんですが、どういう乱数調整が入ったのかは分かりませんが、何故か全6回公演になっていました。
「家2軒作ってくれる?」と言われて建築してる最中に「マンションにしたくなったからあと4軒追加でよろしく」って言われるのを想像してください。死にます。
  
  
──ひどい編集者がいるものですね。
  
御社の社長ですけどね。
その分のスケジュールを全く確保していなかったので、大変なことになりましたよ。
こうなっても、他の仕事の〆切が延びるわけではないんです!
でもO田さんから「次の〆切は72時間後だ! 遅れずにな!」と電話が掛かってくるので、どうにかして頑張りました。死にます。
1本まるごと没になった脚本もありますし。
2話なんかは事件ごと書き換えているので、そう考えると全8本書いたことになるでしょうか。
10月はほぼこれに割いていたので、他の仕事、特に雑誌の短篇などがよく落ちなかったなと思っています。
休み無く72×8セットやってる最中に短編小説やら新作長編を書いていたわけですからね、これ。
  
  
──ご苦労さまでした......『池袋ナイトアウルテールズ』に続き『池袋シャーロック』と、「池袋」を舞台にされたのは理由があるのでしょうか。
  
上演される「Mixalive TOKYO」が池袋にあるからです。
本来ならばそこに足を運んで頂いて、この街に登場人物達がいるんだなという没入感を楽しんで頂く予定でした。
今回は配信という形になりますが、空気だけでも楽しんで頂ければと。
  
  
──探偵である北崎は「推理力が全くない」と紹介されています。探偵が無能で大丈夫なんですか?
  
駄目だと思います。
でも、この構図を作ることで、他のキャラクターが持ち回りで探偵をやることが出来るんですよね。
探偵役が固定されていない分、他の登場人物が切れ味の良い推理を代わる代わる披露してくれます。
豪華なキャストの皆さんによる華麗な推理が聞けるのは北崎が無能なお陰ということですね。よかったです。

ミステリで登場人物全員探偵役、というこの構図はあまり無かったのではないでしょうか。
つまり通しで見ると、必ず推しの声優さんの推理披露シーンが見られるんです!
北崎に関わったせいで人生がめちゃくちゃになる人々の演技の凄みを味わってください。
  
  
──北崎たちが挑むのはどんな事件なのでしょう?
  
全6話のうちの2つは、狩山教授という物理学科の教授が殺される事件です。
シンプルな事件ですが、彼は北崎のことを殺したいほど憎んでいた因縁のある男で......というところがキーになってきます。
そして全6話のうちの1話は「北崎教授を探偵の座から引きずり下ろす」と宣言していた雪島という教え子が殺される事件です。
彼はどうして北崎を探偵の座から引きずり下ろしたかったのか? そして何故殺されたのか? という物語です。
残りの3つは被害者が北崎です。打率五割なので、探偵は被害に遭いやすいようですね。
一体北崎教授に何が起こったのかは、実際に観て確かめてください。
  
  
──ミステリとしては、いわゆる「多重解決」ものへの挑戦になりますかね。
  
そうかもしれないですね。
基本的にはワンアイディアで収めることと、事件は全て「北崎教授が探偵だったが故に起こる事件」で統一しようと決めていました。
後者に関しては特に意識したので、注目してみてください。
  
  
──最後に、公演を楽しみにしているファンの方へメッセージをどうぞ!
  
ミステリ朗読劇という括りで出来ることを全部試しました。
よければ目撃してください。
  
  
〈新感覚朗読劇プロジェクト「READING MUSEUM」第2弾〉
 『池袋シャーロック、最初で最後の事件』
 配信日:2021年1月26日(火)、30日(土)、2月7日(日)
 公式サイトはこちら