編集部ブログ朝の最前線
広報の築地(@seikaisha_kt)です。
このブログ公開、だいぶ時間が経ってしまいました……。反省。すみません。もうしません。
さて、気を取り直してお届けします。
11月に刊行しました、竹さんファン必須の1冊、『竹画廊絵にっき 2013-2014』。今回、この1冊が出来るまでの、いわば肝になる印刷現場に潜入してきました。
潜入のきっかけは、とある日の編集部での会話です。
編集担当・林「つきじさーん、竹画廊絵にっきの色校正が上がったんですけどね、色に問題ががないかどうかちょっと見てもらえません? ほら、つきじさんて、元々印刷の営業だったじゃないすか。だからなんか見てもらえると安心というか。」
という具合に頼まれたので、まあ確かに印刷物を見てきた経験は多いはずなので、見てみました。
そうしたらですね、その色校正、めちゃくちゃ綺麗だったんです。
竹さんのイラストは星海社で広報をやる前からもちろん知っていましたし、綺麗で鮮やかなイラストだっていう認識は十分にあったんですが、この色校がほんとに素晴らしい仕上がりだったんです。このクオリティを本番の印刷で再現できれば素晴らしい1冊になると確信し、だったらその印刷現場を見に行こう、その様子を読者のみなさんに少しでもお伝えしよう、そう思ったのがきっかけでした。なので、この潜入記を読んで頂き、さらに竹画廊絵にっきを好きになって頂けると嬉しいです。
さて、では潜入記をお届けします。
印刷現場で実際の印刷物の色調を確認することを「印刷立ち会い」なんて言います。
その印刷立ち会いをする際に、とても重要な役割を果たすのが、この蛍光灯。
こちら、「色見灯(いろみとう)」と言います。実はこれ、普通の蛍光灯とちょっと違うんです。紙に色を印刷した時、限りなくベストな状態で色の再現性が確認できるような光を発する蛍光灯で、印刷現場にはなくてはならないものなのです。この蛍光灯の下で、実際の印刷物の色調を確認します。
そしていよいよ印刷現場へ潜入です。
これが、まさに印刷をしている現場の様子です。今回、特別に写真を撮らせて頂きました。なにやらピアノの鍵盤のようなものが見えますよね。これが、印刷物の色調を調整するカラーゲージと呼ばれるものです。この無数に並んだパネルを、パシパシパシっと打ち込んでいきます。
具体的になにを調整しているかというと、インキの量を調整しています。細かく列に配置されているパネルの上に、印刷物が置かれていますよね。この印刷物の色調を再現するために、配置された列ごとにインキの量を調整していきます。これ、さらっと言葉では言えますが、至難の技なんです。なにせ印刷機は高速で稼働を続けています。そんななかでインクの量を調整して色を合わせ込んでいくのですから、高い集中力と「これぐらいのインキ量であればこの色調を表現できる」という判断を、わずかな時間でこなしているのです。これは本当に大変。まさに職人技です。
ちなみに余談ですが、この噴射しているものは何だと思います? 特に名前は付いていないようなんですが、これは印刷現場の複数箇所に設置されている湿度調整器なのです。インキが紙に乗る時、現場の湿度状態が色の鮮やかさや再現性の高さにとても影響を与えるそうです。この噴射で、印刷にベストな湿度を保っているそうです。
こうして印刷物が仕上がります。
実際に印刷をして頂いたオペレーターさんに、『竹画廊絵にっき』の印刷は難しいですか? と聞いてみました。回答は「難しい」、と即答。その理由は、「ここまで色鮮やかなイラストは滅多にない。だから、一度に印刷するイラストのすべての色調を、同時に合わせていくのが本当に難しい」、と。素晴らしい作品は、簡単には仕上がらないんですね。でも簡単には仕上がらない作品だからこそ、手元に届いた瞬間、ページをめくった瞬間のなんとも言えない嬉しさというものが大きいのではないかなあと思います。そして、「難しい」と答えた時の、オペレーターさんのなんとなく嬉しそうな表情が印象的でした。やっぱり、やりがいのある作品は楽しいのだと思います。
『竹画廊絵にっき 2013-2014』、こうして完成しました。
星海社は「画集」という言葉に、とても大きな意味を込めています。イラスト集ではなく、「画集」。この『竹画廊絵にっき』も、紛れも無く「画集」です。竹さんの素晴らしいイラストを、高いクオリティの作品としてみなさんにお届けする、そこに星海社の想いを込めています。お手にとって頂いたみなさまに、少しでもその想いが伝われば嬉しいです。『竹画廊絵にっき 2013-2014』、ぜひお手に取ってみてください。
著者:竹
定価:2700円(税別)
ISBN:978-4-06-219243-9
発売日:発売中
試し読みはこちらのブログにあります。