編集部ブログ朝の最前線

2017年5月 1日 11:10

『破壊ランナー』のソニックランナーたち

おはようございます。櫻井です。

先日、Zeppブルーシアター六本木にて、『破壊ランナー』を観てきました。
演出家・西田シャトナーさんの代表作であり、1993年から何度も上演されてきた作品です。

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時は2707年、生身で音速走行が可能となった人類は、ソニックランというスポーツレースに熱狂していました。
人類最速、1.71音速のトップランナー豹二郎ダイヤモンドを筆頭に、
みんな、走る、走る、走るーーーー!!


小道具を極力使わないパワーマイムという演出方法により、
役者の身体で表現される音速レースの迫力は凄まじかったです。

役者の身体と音と照明と......これぞ舞台だからこそ表現できる音速の世界です!


個性的なソニックランナーたちが、それぞれに走る理由を持っているのに対して、
チャンピオンの豹二郎だけは、走る理由を明確には語らないことがこの作品をより魅力的にしていると思いました。
彼はレースで99連勝中。
しかし自分の持つ1.71音速というを、何年も更新できていないことに苛立っていました。


豹二郎の走る理由は、強いて言えば己の限界に挑戦するということなのかもしれませんが...
ロボットの人権が認められつつある時代に、人間がレースで速く走ることにどんな意味を見出せるのかはわかりません。
音速走行の世界では、「走るのが好き」などという爽やかな回答は一切否定されるはずです。
(キャデラックというキャラクターは「走りたいから走る」と言いますが、
気分が乗らないとすぐにレースをリタイアしてしまうため、変わり者扱いされています。)


そして、人間として人間の限界を超えて走り続けた豹二郎は、最後のレースを走り抜けて姿を消しますーー


走り抜けて歴史だけ残して消えてしまうなんて、これは舞台そのものだな、なんて思いました。
清々しいとはちょっと違う、体が燃焼しきった感を観客に与える素晴らしい作品でした!