編集部ブログお知らせ

2014年9月12日 21:16

“共産主義英雄譚”『約束の国』発売! さらにその前日譚短篇小説を「カレンダー小説」で9/14から期間限定無料公開!

こんばんは。編集の岡村です。
今回は、本日発売された星海社FICTIONSの新シリーズ『約束の国』を紹介します。



くわえてますねー、拳銃。

この『約束の国』、どういうお話かざっくり かつ ぶっちゃけて説明しますと、

ユーゴスラビア(がモチーフの国、作中名:ヒルトリア)崩壊後の悲惨な結末を回避するため、タイムスリップかつ若返った元大統領である主人公が、ユーゴスラビアが存続する歴史改変を目指す。

となります。
ユーゴスラビアに詳しくない方にとっては「何のこっちゃ?」「ユーゴ? ストイコビッチ? ピクシー?」という感じかと思いますがこのユーゴスラビア、歴史上から見ても非常にユニークな国です。
※どのくらいユニークか説明しますとこのブログ10回分くらいになりますので、興味がある方はwikipediaへどうぞ

さて、こんなめんどくさい、ではなくてユニークな架空国家を舞台に物語を描こうと思った作家、カルロ・ゼンとは何者なのか?
ご紹介したいと思います。

カルロ・ゼン先生は昨年秋にエンターブレインさんから『幼女戦記』という作品でデビューしました。


笑顔が、素敵ですね。

日本の効率厨エリートサラリーマンが、第一次大戦のドイツっぽい国の幼女に転生し、戦場で無双していくという大変心躍る作品です。あと一度は幼女に踏まれてみたいと思っている方にとっては、正に生涯のバイブルとなりえる作品ですので、是非書店でご覧になってみてください。

そんな作品を生み出したカルロ先生ですが、本人のTwitterや作品内容が示す通り、非常にウィットに富んだジョークセンスを持つ方です。
それは作品打ち合わせでもいかんなく発揮されています。

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同志カルロ「岡村さん、『約束の国』に関してお願いがあるのですが」

同志岡村 「はい。何でしょう?」

同志カルロ「この『約束の国』の大きなテーマが“共産主義”であることは最早疑いようがないはずです。そこで! 読者の皆さんと同志的紐帯(ちゅうたい)を共有する証として、この『約束の国』に限って私のペンネームを「カルロ・ゼン」ではなく「同志カルロ・ゼン」としていただけないでしょうか? 作品の雰囲気とはバッチリ合っていると思います!」

同志岡村 「読者さんや書店さんから『あのー、御社から刊行してます同志カルロ・ゼンさんは、カルロ・ゼンさんと同一人物なのでしょうか……?』というシュールな問い合わせが来るので、やめてください」

同志カルロ「そうですか……革命的なアイディアかと思ったのですが……残念です」(シュン…)

同志岡村 「すいません」(めんどい)

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同志カルロの革命的アイディアは弊社都合で却下させていただきましたが、このやりとりからわかるように、同志カルロは読者さんとの交流を非常に大切にされています。
こちらのask.では同志カルロが皆さんからの質問を受け付けています。
『約束の国』に関する質問を同志カルロ本人が答えてくださいますので、是非お気軽にご利用ください。
僕も昨日、質問してみました。

 


返答


 

ウィットに答えをごまかされましたので、普通にメールで原稿を取り立てたいと思います。


さて作品の「顔」であるイラストですが、同志カルロにイラストレーターさんの希望を聞いてみたところ

「渋いオッサンと煙草を吸うカッコイイ男性、かつ共産主義的デザインが似合うイラストが描ける方にお願いしたいです」

という現在のライトノベルのイラストニーズとは対極にかけ離れた無理難題をふっかけられました。共産主義的デザインが似合うイラスト、意味がわかりません。

メインキャラには女の子も出てきますので、「女の子も可愛く描ける方」という僕の要望も加え、検討してみたところ、いました、神が!

巖本英利さんです。



ガガガ文庫さんの『隣人は真夜中にピアノを弾く』で共産主義的モノトーンデザイン&煙草の青年、オッサンをカッコ良く描き、電撃文庫さんの『螺旋のエンペロイダー』でしっかり女の子も可愛く描く正に『約束の国』にウルトラマッチしたイラストレーターさんです。

『約束の国』のカバーイラストからは目つきの悪い煙草青年と、拳銃をくわえたオッサンしかわかりませんが作中の挿絵にはちゃんと黒髪クールビューティ(ただし性格はアレ)や金髪委員長(ただし性格はアレ)といった魅力満載の女の子のイラストも掲載していますので、是非ご覧ください。


そして帯文です。
同志カルロからユーゴを題材にした物語を描きたい、と聞いたときに頭の中に真っ先に浮かんだ作品が不朽の名作ゲーム『タクティクスオウガ』でした。

※『タクティクスオウガ』についての松野泰己さん・宮部みゆきさん・米澤穂信さんの素晴らしい鼎談記事はこちらから読めます。
http://dengekionline.com/elem/000/000/336/336146/

ですので、星海社の慈父ことスターリン・太田書記長、ではなく編集長経由で、『タクティクスオウガ』のゲームデザイナーである松野泰己さんに『約束の国』の帯文をご依頼することにしました。
ドキドキしながらご依頼メールを書いてみました。

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松野泰己さま

初めてご連絡させていただきます。
星海社の岡村と申します。

この度は松野さまに弊社小説作品の帯文の寄稿をお願いできないかと思い
ご連絡させていただきました。

作家さんは
『幼女戦記』という作品を刊行しているカルロ・ゼンさんという方です。

(以下、略)

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…………字面で説明するとうさんくさい事この上ない。


松野さん、お引き受けくださるのだろうか……というかこれって初対面の方に失礼ではないのだろうか……
と不安になりながらメールの送信ボタンをクリックしました。
数日後、作品を読んでいただいた松野さんからご快諾のメールをいただき同志カルロも僕も狂喜乱舞だったことは言うまでもありません。

こちらが松野さんからいただいた帯文の一部です。

そう一部、です。実は帯の裏には松野さんの帯文全文が掲載されていますので是非書店さんで手にとってご確認ください。思わず中身を読みたくなる素晴らしい文章をいただきました。
松野さん、本当にありがとうございました!


さて長くなりましたが、最後に重大発表がございます。
本日発売された『約束の国』ですが、なんとその前日譚である短編小説『蒼旗を掲げて』が明後日9/14〜28の期間限定「カレンダー小説」で無料公開されます!



弊社Webサイト「最前線」で読むことができます。
ちなみにこの「カレンダー小説」ですが、記念日にちなんだ内容の短篇小説企画です。
今回は「第二次世界大戦、ユーゴスラビア首都・ベオグラード解放攻勢開戦日」。カレンダー小説史上もっともマニアックな(というか誰も知らない)記念日をテーマとしております。
内容は『約束の国』の前日譚ですが、『蒼旗を掲げて』だけ読んでもわかる内容となっておりますので『約束の国』の前に読んでも良し、後で読んでも良し、です。
是非一度ご覧くださいませ〜。


『約束の国 1』


                                   (終)