ツイ4 『第16回 ツイ4新人賞座談会』 #c002

『第16回 ツイ4新人賞座談会』

さまざまな作風の投稿作来たれり! 一味違う第16回開幕!

ツイ4新人賞とは?

はじめに

岡部 今回は9作品ご投稿いただきました。ありがとうございます!

初投稿の方や常連の方、そして「なぜここに!?」と驚くほどハイレベルな方まで、今回は幅広い作品が揃いましたね。

岡村 いろいろな方にご応募いただけていて嬉しいです。では、第16回ツイ4新人賞座談会、よろしくお願いします。

作品No.1 げーけん!! 鈴木秀吉

げーけん!!

石川 絵が上手なので読めてしまうんですが、テキストやキャラがアップになっている構図が多いので、それを整理したらもっとよくなるのではと思いました。特にテキストは、読者が読み飛ばしてもいい部分とそうでない部分を差別化したほうがいいかなと。

背景を描き込みすぎて、キャラへ焦点が合いづらいのが気になりました。背景の処理は、小林ロクさん『青春オカルティーン!』を参考にしてみてください。描き込んでるけどすごく見やすいので!

平林 読者層として、どの辺を想定してるのかなっていうのは気になりました。歴史が好きな人からするともっとマニアックなネタでないと満足できなそうだし、元ネタがまったくわからないと、それはそれで問題がありそう。

岡部 イントロの説明でいっぱいいっぱいなので、ゲーム研究部に入部した後から話を始めるのもアリだと思います。

岡村 以前の座談会で他の作品に対しても言ったんですけど、ヒロインの魅力と主人公の魅力がうまく釣り合ってバランスが取れてないのが気になりました。ヒロインの魅力が強すぎるというより、主人公の魅力があまり伝わってこない。でもヒロインはちゃんとあざとくかわいくて僕は好きです。この人は才能があると思うので、また是非投稿していただけると嬉しい。

太田 キャラクターの魅力があるというのがいちばんの売りですよね。続きが読みたくなる感じなのがいちばんの財産だと思います。歴史ものの4コマはたくさんあるけど、これはちょっと新機軸だと思いますしね。ただ、できれば別の作品で投稿してほしいですね。他の引き出しも見てみたい。

作品No.2 フリークス・シェアハウス かめまん

フリークス・シェアハウス

平林 背景が白すぎて、どんなシェアハウスに住んでるのかがまったくわからない! ......なので、この人外たちが日常の中に紛れ込んでいるのではなく、むしろ主人公が異物になってしまっていると思いました。

視点をシェアハウス限定にするのはいいですが、人外が外の世界でどう扱われている存在なのか説明してほしかったです。

太田 人外のシェアハウスという着眼点はいいと思います。過去にヒット作もありますし。ただ、これは描いている本人がいちばんわかっていることだと思いますが、絵の表現力が描きたいことに追いついていないです。腰を据えて画力を研鑽すべきです。

石川 人外の造形やカラーが、一般的にイメージするものからかけ離れていて、このキャラはなんだったっけ、ということをつねに気にしながら読む必要があるのは要改善かなと思いました。

今井 人外キャラのデザインに不思議な親しみを感じました。画力を改善することができれば、化ける可能性のある方だと思います。描いて描いて描きまくっていただければ!

作品No.3 となりの隣子さん 百田ちなこ

となりの隣子さん

太田 BL漫画家さんやエロ漫画家さんが実は女性で......っていう設定はごまんとあるので、そこで勝負するには新味が必要です。今のところこの作品にはそれがない。作家さんもいまひとつかわいくない。

岡村 主人公が思春期でエロに興味があって思い込みが激しいっていうのはよいですよね。思い込みが激しいキャラクターがいると話が動かしやすい。僕は年上の女性がすごく好き、というわけではないですが、そういう僕でもこの隣子さんが好きになるような内面とかギャップがこの10本の4コマでわかると続きが読みたくなるのでは、と思いました。

平林 石川くん的には年齢でもうアウトだと思いますが、僕は大人の女性が好きです。しかし、もっとエロく描いていいと思います。あと、カラーである必然性がいまひとつ感じられなかった。

石川 いや、そんなことはな......あるのかな......。しかし、年上だろうと年下だろうと、主人公あるいは読者がそのキャラクターをいかに魅力的に思えるか、という点ではまったく変わらないと思います。そう考えると、あと二歩三歩踏み込みが足りない! 葉くんは、もっと目を皿にして隣子さんを見たほうがいい!

今井 弟のキャラ設定と表情、いいですね。主人公のキャラクターにもう一工夫あると、より魅力あるキャラにできるのではないかと思います。たとえば、1本目で誰かに告白されて断っている描写を入れて、こんなにモテるのに誰とも付き合わない理由は......みたいな流れです。

作品No.4 松浦くんと隣人さん。 笛子

松浦くんと隣人さん。

岡村 1本目は何の漫画かわかる内容なのでよいかな、と思ったのですが、読み進めてみるといろいろと荒いですね。凛子先生は何を考えて行動しているのかよくわからないし、主人公が高3でいまさら「というかここは本当に進学校なのか?」と思うのはおかしいでしょう。入学や転校してきたばかり、というのならまだわかりますが。この10本だけを読んでもいろいろと矛盾していると思われる箇所が多々あります。

ストーリー漫画を4コマに分割しているので、1本1本で完結するようにしましょう。

石川 ベタながらいくらでもおもしろく発展させられるネタだと思います。それだけに、取り回しには気をつけないと粗が目立ってしまうんですよね。

平林 台詞回しはもうちょっと改善の余地があるかなと思います。細部からもっとキャラを立たせていけると思うので。

岡村 この太っている先生は圧倒的コピペ感を感じるのでジワジワ来るんですけどねー。そこは枝葉の狭いおもしろさだと思うので......。

今井 リアリティラインを明確にすべきだと思いました。壁に穴が空くというのは尋常なことじゃないので......。あとそもそも、教育実習のために引っ越すことってあまりないのではないでしょうか。

作品No.5 王子 時間ですよ 修業中

王子 時間ですよ

岡村 うーん、内容がよくわからなかったです。実は王子を指導している娘のほうが、王様の子だったということなのかな......。あと絵に関してはバストアップと同じ構図が続くのが気になりました。もしまだ他の構図を描く画力がなくても、チャレンジしていかないとここから変わらないと思います。

作品No.6 三匹のおバカ とく村長

三匹のおバカ

石川 すでに商業デビューされている方のご投稿です。

平林 カメラアングルが豊富でいいですね。

今井 そう! カメラアングルが豊富だから、飽きずにテンポよく読めますよね!

キャラデザのレベルが高い!! シルエットだけで誰なのか分かって素晴らしい。ですが、今の「ツイ4」は物語性がある4コマがメインなんですよね......。

石川 すごくジレンマがあるんですよね......。どういうことかと言うと、おそらくもっと「普通にかわいい」キャラの描ける方だと思うんですが、それをあえて抑えている気がします。それでキャラデザのオリジナリティを獲得できているんですが、こういう内容だと「普通にかわいい」キャラじゃないと楽しめない読者が多いのでは、と......。

平林 たとえばなんだけど、全員にスクール水着を着せるのはどうだろう?

岡村 (無視)これは作家さんも意識してやっていると思うんですけど、早い話がこの作品はぐりちゃんが「とても」人気がでるか、そうではないかが成否の全てなんですよね。10本で1つの起伏のあるストーリーを見せているわけではなく、ぐりちゃんの魅力を10回提示しているという構成なので。僕はぐりちゃんのことはおもしろいとは思う(特に10本目3、4コマ目の狂気さとか)けど「とても」おもしろいとは思えなかったです。もちろん人それぞれ好みがあるので、編集部の半数くらいが「このキャラめっちゃおもしろい!」と思えれば読切なり連載もアリかと思いますが、今回はそこまでではなかったです。

作品No.7 霊媒師ミタマ みつ

霊媒師ミタマ

石川 霊媒師、巫女装束(?)、座禅、それから各話タイトルの「心経」......神仏習合のその先を感じる......。

平林 集中線の使い方に違和感がありました。

岡村 大事な1本目のオチが「コロッケさんのサイン」は弱いですね......。全体的にノリと勢いのみで描いているという印象で、もっと基礎的な部分を向上させていく必要があります。

作品No.8 極道!非道!五十三次!! 飛炎たるぴ

極道!非道!五十三次!!

平林 こ......これは、なんなの? すごい怪作だ......。北の将軍さまヤバい......。

石川 「女の子ふたりが五十三次を旅する」というだけでカタい気がするんですが、これはさらにいろいろと入り込んでいて......どう読めばいいんだろう......。

太田 女の子が歩くことをフィーチャーした作品にはufotableさんのアニメ『おへんろ。』という名作があるけれどこれは......。

平林 どういうリアクションを返すのが正しいかわからない......。

今井 読めば読むほど不安になる作品ですね......それも個性、なの......か?

自分の解釈が合っているのか分からなくて不安になります。

石川 この子たちは日本橋にいるのか大阪にいるのか静岡にいるのか、その行程は、という疑問など些末事に思えますね。

岡部 西に向かっているはずなのに、なぜ北の大将軍の国家体制を転覆させることになるのかとかも、考え出すとドツボにはまりそう。

岡村 ネタはぶっとんでるんですけど、女の子のキャラデザは意外と基本を押さえてるんですよね。カラーにしてるのも要因かもしれないけどパッと見でキャラの見分けがつくのはgood。

太田 これ、はまる人にははまる作品だと思いますよ。でもその数が少なそう......。

作品No.9 ラブレターの返事がこない ヒライワサビ

ラブレターの返事がこない

平林 オイ?! なんで俺になんも言わんとこっちに送るねん!!! ......というか、今もらってるネームよりこっちのほうがおもしろい!!

いやぁ、抜群におもしろいですよこの作品! 1本目の1コマ目は、導入として完璧ですよね。コンセプトを端的に説明している。

岡部 10本目の男の子の表情も最高ですね!

岡村 この人は今までずっとカラーで送ってきてくれたけど、全然モノクロでもいけますね。というよりむしろモノクロのほうがいいのでは......?

石川 おもしろかったです。本命の相手が二段構えだったのも意表を突かれたんですが、ただそれはこの10本のための飛び道具かな、という気がしてしまいました。あと、小5は10or11歳なのでは......? この年代の1歳は重要ですよ!!!

太田 僕はあんまりぴんとこなかった......。少なくともそれぞれの4コマタイトルはもっと考えるべきでは。

今井 「魅力」4コマ目からの展開は、いい意味で裏切りがあってよかったです。ただ、僕も太田さんと同意見かな......。ポテンシャルは感じました!

平林 担当編集者への催促のしかたとしても抜群だと思いました。

おわりに

太田 今回はバラエティ豊かな投稿だったと思います。お声がけする人がいなかったのは残念ですが、そこは次回以降に期待しましょう!

岡村 読む前は久々に投稿作品数が1ケタでどうかな、と思ってたのですが、今回は全体的にレベルが高くて読んでいて楽しかった。特に『げーけん!!』が好きです。

岡部 僕は『三匹のおバカ』が好きだったので、またぜひ送ってきていただきたいですね。

今井 僕も『三匹のおバカ』推しです。計算された勢いがすばらしかった!

平林 ヒライさん、打ち合わせ候補日お送りします。

投稿時代とは比べものにならないほど上達していたので、ヒライさんが短期集中連載でデビューする日が待ち遠しいです。短期集中連載といえば、「ツイ4新人賞」発の『屍人警官ゾンデッタ』が読切掲載されました。剣さんとは引き続き作品を作っていきますので、これからも応援していただけると嬉しいです!

石川 そして、第13回に『スローライフ』でご投稿いただいたつきよみさんの短期集中連載『マリアンといっしょ!』が、10/11(火)16時よりスタートします! 僕が言うので間違いありませんが、ヒロインのマリアン(小4)が本当にかわいい。ぜひぜひ、RT&いいねで応援していただけますと幸いです!!

マリアンといっしょ!

岡部 短期集中連載も続々始まってきていますので、ぜひご注目ください!

一同 よろしくお願いいたします!!