エレGY

CHAPTER 2-8『感想メール』

泉 和良 Illustration/huke

「最前線」のフィクションズ。破天荒に加速する“運命の恋”を天性のリズム感で瑞々しく描ききった泉和良の記念碑的デビュー作が、hukeの絵筆による唯一無二の色彩とともに「最前線」に堂々登場! 「最前線」のフィクションズページにて“期間無制限”で“完全公開中”!

8『感想メール』

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メールを読んで、自分で作った『二人乗り』のゲームをプレーして、またメールを読んだ。

エレGYがこのゲームをプレーして、どんな風に感じたのかを正確にシミュレートしたかった。

ゲーム内のエレGYが叫ぶシーンでは、メールにあったように僕も声を出して一緒に叫んでみた。

このゲームはエレGYを面白がらせるためだけに作ったゲームだ。

どうやらそれは成功した。

だのに僕は全く落ち着かなかった。

メール後半部分で触れられていた、宇宙人いずみかずよしに関する記述が気になって仕方がない。

「この宇宙人に連れ去られるのが今のわたしのゆめです」とまで書かれてある。

もしかしたら僕は不用意にも、このゲームで彼女にアプローチ的な事をしてしまったんじゃないのか。つまり、彼女のためだけにゲームを作るという行動は、作品を介して彼女に告白してるのも同然ではないのか

僕は頭を抱えた。

駄目だ作品を介するのは良くない。

エレGYの僕に対する幻想を、より肥大させる事は、魔法の延長には繫がるかもしれないが、同時に現実との差を大きくもするのだ。

彼女の気持ちは、ますますジスカルドの方に接近するようになる。

それは魔法が解けた時の、本当の僕に対する失望を、より強くしてしまう

『二人乗り』を作った事で、事態を悪化させてしまったのではないか、と僕は神経質に考えた。

エレGYと出会ってから一ヵ月が経過していた。

僕の中のエレGYに対する気持ちは拡大する一方だった。

そしてそれと比例するように、エレGYが幻想から覚めてしまう事の恐怖が重くし掛かる。

もっと冷静になるべきだもっと慎重しんちょう