私は赤ちゃん松田道雄

タイトルからも解る通り、『吾輩は猫である』のフォーマットを用いて、赤ちゃんが語り部をつとめるのですが、この赤ちゃんがずいぶん賢く、かつクールなのです。「先生は、毎日注射に通うようにといっているらしかった。ああ何だってこんな恐ろしいことになったんだろう。ほんとに、人生ってものは、わずか十五日だけれど、どこにどんな恐ろしいことがかくれているかわからないものだ」とか喋るので超キュート(笑)。名著は古びませんね。

セレクター
公開日

月蝕書簡寺山修司

短歌も競馬も映画も演劇も興味のない佐藤ですが、寺山修司を流すのは難しいです。啄木に深い影響を受けているからでしょうか。のちに日本三大ミステリ『虚無への供物』を書く中井英夫の後押しで台頭したからでしょうか。縁はないけど繋がっている。そんな感覚がありました。本書は寺山の死後に刊行されたものですが、ただの未発表歌集ではありません。最強の武器である短歌を20代のうちに封印した寺山が、40代でまた新たに書き始めた遺稿なのです。自己模倣との戦闘。何と恐ろしいことをやろうとしたのでしょうか。

セレクター
公開日

福音書

キリスト教信者でも聖書スキーでもありませんが、仕事の都合で読みこんでいるうちに、物語としての面白さに目覚めました。魅力的なキャラクター。象徴的なエピソード。そして中2チックな各種アイテム。世界中のクリエイターが聖書の二次創作に走るわけです。10代の佐藤は、「宗教とか下らねwwアホかw」と、とんがった日本人少年にありがちな主張を通していましたが、30歳になったのでキリスト教世界観を流用した物語を書いてもいいかも。ナザレでございま〜す。

セレクター
公開日