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時の鳥籠浦賀和宏
本書を「マニアック」とカテゴライズする現実を唾棄します。あらすじを書くことはできませんが(傑作とはそういうものです。『ドグラ・マグラ』を要約できる人っていますか?)、ここに書かれているあまりに美しい青春、あまりに残酷な青春を、ぜひ体験して下さい。佐藤は本書を読み、「このように狂った物語が現在の出版流通に乗るのか。これを本にするなんてすごい賞だ」と驚愕し、浦賀さんがデビューされたのと同じ新人賞、つまりメフィスト賞に送りました。判断は正しく、おかげで今があります。
もう猫のためになんか泣かない柾悟郎
本書を「マニアック」とカテゴライズする現実を(略)。現在、驚くべきことにSFが再評価され、星海社も力を注いでいるわけですが、なればこそ、柾悟郎という唯一無二のSF作家を語るべきではないでしょうか。表題作が傑作なのも、そのため概略を書けないのも当然として、収録作『いちばん上のお兄さん』の異様な迫力は、ちょっとばかり危険です。内田百閒『件』、小松左京『くだんのはは』に連なる「くだん小説」ですが、その凄まじき変異、素晴らしき幻惑を、どうぞ味わって下さい。
ストウブ
日本の料理界で鍋といえば、ル・クルーゼ。我らが『男子ごはん』の教祖、ケンタロウも、ル・クルーゼの信者でして、同タイプの鍋をいくつも持っているそうです。しかし、男子だったら断然ストウブを選ぶべきですね。何より名前が良い。死ぬほど重いため女の子には扱いにくく、鍋蓋もそのままだと熱くて持てないという不親切極まりないストウブこそ、男子が使うべきではないでしょうか。全国の、ひとり暮らし1年目男子諸君、ぜひともストウブを使いこなしモテて下さい。
やきそば弁当
みなさん食べたことあります? これは『サッポロクラシック』や『ミルクカステーラ』や『日本一きびだんご』と同じく北海道限定品で、そういう意味では「マニアック」です。佐藤は『やきそば弁当』が北海道のみで売られているのを知らず、上京したときは大層混乱し、「東京では何を食べればいいんだ!」と嘆きました。本品における最大の特徴はスープにあります。麺を戻すときに使う湯でスープを作ってしまうのです。でもそれ、当たり前じゃね? みなさん、やきそば食べるときに何も飲まないの? のど詰まらすぞ!
Return of the Dcザ・ドゥルッティ・コラム
このCDは、佐藤が新本格ミステリから純文学に転校(転向じゃないよ)したとき、『新潮』編集部部長矢野優さんからプレゼントされたものです。なぜ、純文学に挑む心構えでCDなのか、なぜ、かなり「マニアック」なドゥルッティ・コラムなのか、当時は解りませんでした。しかし本作に流れる旋律……センチメンタルを突き抜け、禍々しい暴力となった音を聞くたび、「どこの世界であろうと、いつも通りの佐藤友哉で大丈夫」というアドバイスだったのだと、今になって思います。そういう意味では道標となってくれました。