灰羽連盟

一応、自分が原作、脚本、キャラクターデザイン、といろいろやったのでこれが僕の代表作、という事になるでしょうか。思い返すと半年くらいでつくっているんですよね……。恐ろしく密度の濃い半年間でした。何度も話した事ですが、ラストが決まらないままテレビの放送が始まり、本当にぎりぎりで最終話の展開を思いつき、今ふり返ると、恐ろしい綱渡りをしたものだと背筋が寒くなります。その反省もあって、しばらくは計画を立てて先が見えてから作品づくりに取り組むようにしたのですが、結果的に下調べに時間がかかりすぎたり、計画ばかり複数同時進行して逆にワークフローが整わなかったり、思ったようにはいかないものだと学びました。

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リューシカ・リューシカ安倍吉俊

現在連載中。年をとるにつれ、子供目線で物語をつくるのが難しくなるような気がして、これを描くなら今が最後のチャンスかもしれない、と思い描き始めました。2009年の事です。その時、数年内に電子書籍の時代が来るだろう、という予感があったのでWeb雑誌を媒体に選び、カラー端末が主流になると予測して、モノクロではなくフルカラーで漫画を描く事に決めました。2010年後半に、やっと紙も鉛筆も使わず全てデジタルで作業できるワークフローが確立して、カラーである程度のページ数をコンスタントに描けるようになりました。僕がずっと抱えていた問題として、作品ごとに作業内容や手順がバラバラで、仕事が経験値として積み上がっていかない、という事があったので、ひとつ大きな進歩があったと思います。

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NieA_7安倍吉俊

実は部数で言えば、僕の作品の中で一番発行部数の多いのはNieA_7です。今見返すと、よくこんなデタラメでいい加減な仕事をしていたなと反省しきりですが、『失敗してもいいや』という(もちろん失敗しないよう最善を尽くしていますが)開き直りのおかげで全体に勢いがあった気もします。1話ごとに画材を変えていたり(Gペンの時もあれば全部鉛筆とか、ボールペンで描いた回もある)データ入稿できると聞いて引き受けたのに、連載を始めてから対応してくれない事が分かり、自腹で20万円のレーザープリンタを買わされたり、舞台の銭湯の取材が第1話掲載後で、第1話だけ家の間取りが違っていたり、ほんとにいろいろありました。

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回螺安倍吉俊

『廃域』は季刊連載だったせいで、完結までに3年以上かかりました。恐ろしく面倒で無駄の多い作業をしています。でもその無駄がいい経験になりました。『古街』は僕のライフワークになるような世界観の物語で、何とか続きを描いてみたいです。一連の作品のイメージの源になっているのは、多分12歳くらいの時にコンピュータの基板を見た時、それを街のようだ、と感じ、コンピュータの仕組みを理解した時、メモリ空間は街で、そこに並ぶ情報は人のようだ、と感じた事です。

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lain

デビュー作は1994年にアフタヌーン四季賞に出した『雨の降る場所』という漫画ですが、実質的にはlainでデビューした、と言われる事が多いです。この作品に関われた事は本当に幸運でした。思い返すと、当時は2年くらいこの作品の事だけ考えていればいい、という時間があったおかげで、一枚一枚の絵に本当に膨大な時間をかける事ができました。今は何故こんなに忙しいんだろう、と不思議になります。単に仕事が増えたから、というのではなく、作品が消化される速度が劇的に速くなった気がします。

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