花とアリス岩井俊二

これを映画館で観た頃、わたしは学生服を着ている時分で、この映画の中の少女たちとさほど年齢は変わらなかったと思います。だから、この少女達のやりとりの中、時折見える真実味に、ものすごく驚いた事を覚えてます。友達の中、好きな人とふたり、親と、見知らぬ大人と。関係が変われば、態度だって言葉だってくるくる変わる。変わらないほど子供じゃないけど、うまく使い分けられるほど大人じゃない。そんな当然のことですが、その描き方にまるで嘘がなかったので、わたしはこの映画が好きです。大好きです。これが作られたお話だっていうことに、ときめいてしまう。

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童夢大友 克洋

こんなものを読んでしまって、真似したいと思わない方がおかしい。それくらい衝撃的でした。中学生の頃に、父の本棚からこれを見つけて、読んだのが出会いです。その頃わたしは、団地って、どれも同じ窓に見えて、なんだか気持ち悪い…と思っていました。その怖さに形を持たされてしまって…そのせいか今も、この漫画に描かれるような団地に惹かれてしまいます。こんなにみっしりと線のひかれた画面をみるのは初めてでした。見開きでおじいさんの顔が映るところなんて、何度見たかわかりません。しわのひとつも真似してみたくて、描いてはみますが、線一本も似せる事が出来ませんでした。

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パティシエ必修飴細工―砂糖を自在に操る最新テクニック集

一番なじみがある飴細工は、屋台で、おじさんが見せてくれる動物達の飴細工。わたしは鶴がすき。竜なんかも…好き。にゅーっとやって、ひょいと曲げる、きちっと切りこんできゅっと歪ませ整えて…ぱちんと決めてはいどうぞ、と渡される頃にはしっとり冷えたきれいな飴。そのかたちは様々で、ただの飴のかたまりが、命を持って行く様子にときめきを禁じ得ない! なんという職人技でしょうか。手品のよう。最近、友人から、飴細工で出来た指輪があるときいて、いつか必ずこの指にはめてその甘さを確かめるのだと、胸躍らせている訳なのです。

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