ハウルの動く城宮崎駿

大学受験を控えた冬に公開されたこの映画を目当てに、かさかさした季節に潤いが欲しい一心で、クラスメイトの何人かと制服のまま座った映画館の座席の懐かしいこと…え、これのどこがレアものなのかって話ですネ? そうです、実はDVDではなく。そんな日のことを懐かしく思い出すようになった昨年、担当編集者からいただいたのが、ハウルの動く「城」…の模型! 今にも動き出しそうなそれは今日もわたしの本棚の上です。動いたらいいなあ。

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賢治の幻燈吉良知彦

音楽を聴くのは好きですが、音なら朗読も好きです。わたしは家の外で音楽を聴くことがないので、たいてい好きな音とか声とかそういうのは原稿中と寝る前に聴いています。宮沢賢治の文章を、文字を、読むのでなくて、聴くのってちょっといいです。メロディと朗読で構成された「本」みたい。音楽を作る人はつづられた文字ひとつひとつに音をみつけたのかも…とかって思うと、今夜は夢で銀河鉄道に乗れる気がしてすきよ。

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ダンボールみかん箱

こういうダンボールの上に板をのせてつくる机。その上で原稿を描く漫画家。そういう生き物は今日び、ものがたりの世界にしかいないとお思いでしょうが、すみません。ここにいますのだ。いやいやいや違うよ、ダンボールはみかんじゃないし、電子レンジを買った時のだし、板はかつて本物の机だったやつだし(脚が無いだけ) なんていうリッチ! ダンボール机としては超リッチ。ただし立ち上がる際、机に体重をかけるとひっくり返りますが、だからといってわたしの愛しい仕事机だということに変わりはありません。

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十五夜お月さん野口雨情

この本は地元の古本市で買ったものです。なので、わたしの所持するものはこの書影とはすこし違います。というのも、発行が大正6年。カドのすり減った紙の箱に入った本で、インクののった黒いぶぶんだけ紙がうっすらへこんでいます。多分印刷の方法なんかも今と違うんだなあというのが伝わって、なんだか、タイムカプセルです。本を開くと空気が含まれている気がして、その空気を逃がさないように、すぐに閉じたくなります。

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太陽柱(サンピラー)高橋真澄

神様がいるって、信じる人の気持ちがわかるような気がしました。太陽柱という存在をこの写真集で初めて知りました。もし、名前を知らずにこの現象を目の当たりにしたら、神様だ!…って思うんじゃないかなあ。こわいくらい、きれいなこの柱に名前をつけるならそれが一番しっくりくる気がして、わたしもいつかこの柱を見てみたいものだなあ、と思うのでした。

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