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展翅少女人形館瑞智士記
作中にも人の解体シーンのようなところもあって、それはそれで怖いのですが、もっと根本的な次元で怖い。つまり、どうしてこんな猟奇的な要素をちりばめつつも、美しさを追求するような作品を書こうとしたのか、その心情を想像するのが怖いのです。この本の背後には、少女の美しさを守るには死ぬしかない、とでも言うような信念じみたものが感じられて、気分が悪くなります。ゼロ年代の次を仮にジュウ年代とでも呼ぶとすれば、その時代の奇書と呼んでも問題ないような作品。
座敷女望月 峯太郎
二度と読み返せない……。この作品の怖さは、「自分にそれが起こりえないとは言い切れない」というところにあります。どんなに堅実に無難に生きていこうと努力したところで、異常な人間が偶然自分に目をつけてきたら、人間はほとんどどうすることもできない。とんでもない大金持ちになれたなら、ボディガードなりを配置できるでしょうが、そうじゃなかったら、どうしようもない。人間は運が悪いと、もう助かりようがない、その事実をこの本で突きつけられた時、森田は本当に青ざめていました。
1984年ジョージ・オーウェル
ちょっと有名どころすぎるかと思いましたが、最後まで、ずっと薄ら寒い気持ちになる本といえばこれだろうということでチョイス。自分の考えていることが、政治体制と完全にずれてしまっている、それは想像するだけでもかなりストレスフルなことだと思います。この話が書かれた時代背景と現代はあまりにも違いすぎますが、同じ人間が国を作っている以上、同じようなリスクは常にあるわけで、そういう意味でこの本はいつまでもみずみずしさというか、生々しさを失わないだろうなと思います。