レイジングループ

あの奈須きのこを筆頭に、時代を牽引する7人の書き手が絶賛するノベルゲーム『レイジングループ』をシナリオライター・amphibian自らの手で7冊連続ノベライズ!
+豪華コミックアンソロジーも同時発売!
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豪華推薦陣
奈須きのこ氏ら、時代を牽引する七氏が絶賛。
かつて、これだけの圧倒的讃歌とともに世に出た物語があっただろうか——!?

  • 奈須きのこ『月姫』
    『空の境界』
    『Fate/Grand Order』
  • 虚淵玄(nitroplus)『魔法少女まどか☆マギカ』
    『PSYCHO-PASS』
  • 小高和剛『ダンガンロンパ』
  • 日向夏『薬屋のひとりごと』
  • イシイジロウ『428』
    『文豪とアルケミスト』
  • 芝村裕吏『高機動幻想ガンパレード・マーチ』
    『マージナル・オペレーション』
    『刀剣乱舞』
  • 竜騎士07『ひぐらしのなく頃に』
    『うみねこのなく頃に』

『レイジングループ 一巻』解説
奈須きのこ
『回転の始まりによせて』

 不明なものに遭遇した時、人を前に進ませるものは
 生き残りたいという生存本能でも、
 恐怖に打ち克ちたいという闘争本能でもない。
〝この闇は何なのか〟
 その正体を知らずにはいられない、賢くも愚かしい探究心だ。

『小説版レイジングループ』の世界にようこそ。
 多くのゲームプレイヤーを戦慄と興奮の坩堝に引きずりこんだ『レイジングループ』、その闇のとば口になる一巻はこうして、無事、一旦の小休止に入りました。
 この先に待つものは『ヒト』と『おおかみ』の生き残りをかけた弁論合戦ですが、そちらの結末と〝その続き〟は二巻でお楽しみください。必ず、一巻以上の興奮が待っていますので。
 さて。一読者として、そして一ゲーマーとして一巻の解説を託された以上、ひとりのゲームマニアとして解説をさせていただきます。
『レイジングループ』は2015年の終わりに発売された、ノベル形式のADV(アドベンチャーゲーム)です。
 ノベル形式ADVとは『文章(テキスト)を読む事をゲーム的に楽しみつつ』、『そのゲーム内世界を冒険する』ジャンルで、その開祖には1992年に発売された傑作『弟切草(チュンソフト)』、そしてその魂的な続編とされる『かまいたちの夜(チュンソフト)』があります。
『弟切草』も『かまいたちの夜』も、ゲーマーなら一度は目にした事のある輝ける金字塔ですが、この二つは真逆のコンセプトで作られていました。
 原始的な恐怖をテーマにした、不条理と愛に彩られた怪奇譚(ホラーゲーム)『弟切草』。
 現実的な恐怖をテーマにした、理論と愛で積み重ねられた推理物(ミステリー)『かまいたちの夜』。
 この二つがゲームライターに与えた衝撃は凄まじいものでした。
 その内容の面白さは当然として、この二作に多くのファンがついた事で、文章をメインにしたゲーム……『物語を理解していく事が快感に繫がる』ゲームが成立する事を証明したからです。
 以後、2010年まで、このノベル形式ADVの進化は続きます。
 数々の名作が生まれました。売り上げとして記録に残ったものだけではなく、記録にはならずとも何にも代えがたい個人の記憶として残る名作も、星の数ほど生まれたのです。
 その中でもやはり、もっとも多くのユーザーを魅了したのが『ループ物』でした。
『ループ物』とは、『主人公がリタイヤした際、物語の初めからもう一度やり直す』という物語形式です。ゲーマー風に言うと『強くてニューゲーム』ですね。
 この物語形式は古くからあり、別にゲームだけの専売特許ではありません。
 ですが、トライ&エラーが根底にあるゲームというジャンルにおいて、『ループ物』の相性は恐ろしいほど説得力を持つものだったのです。
 たとえばシューティングゲームの雄、『グラディウス』で、面の途中で自機が爆発した後、残機をひとつ使ってセーブポイントから再スタートします。
 それがゲームの常識なので特に感慨もなく受け止めていますが、あれも『一度死んで』『面の初めからやり直す』ものでしょう。
 何が悪かったのかを学習し、もう一度同じシチュエーションに向かい、これを克服して先に進む……この『デッド&リトライの常識』は、今のところゲームだけに許された基本常識です。
 現実の世界、僕らの人生において、トライ&エラーは毎日あれど、デッドすればリトライもリポップもないのですから。

 だからこそ人間は『もう一度』に憧れ、ループ物に強い関心を示します。
 多くの悲劇。多くの悲しい結末を、『まあ、色々あったけど、その後はそれなりに幸せな人生だったよ』などという帳尻合わせではなく。
『悲しい結末』自体を、なんとしても救いたいのだと。
 それは時間を認識し、記憶を蓄積していく知性体が持つ、共通の叫びなのです。

 近年、この叫びをもっとも大きくあげ、そしてユーザーの心を打ったのが2009年に発売された『シュタインズ・ゲート』(5pb.)でしょう。
 これまで培われてきたループ物ADVの長所を受け継ぎながら、2009年の現実のギミックを生かしたタイムリープ物の傑作です。
 しかし。この後、ゲーム業界においてメインストリームと呼べるADVは中々現れなくなりました。
 それはゲームを遊ぶためのプラットホームの変化(据え置き機から携帯機、そして携帯端末へ)や、プレイスタイルの変化(コミュニケーションツールとして使われる、ストレスフリーなものへの移行)によるものも大きかったですが、なにより、多くのユーザーが『ループ物への耐性がついた』のだと思います。
 多く出せば出すほど、美味しい料理を食べれば食べるほど、人間の舌は肥えていきます。
 1994年から2010年まで、ADVは素晴らしい成熟期を迎えました。
 その結果、生半可な作品ではユーザーの口の端には上がり辛くなったのです。あるいは、心ない者はこう嘯いたかもしれません。『ADVなんて時代遅れだ』とも。
 そんな冬の時代――何もかも逆風の状況で、『レイジングループ』は静かに、しかし大胆に頭角を現しました。
 はじまりは本当に些細なものだったのでしょう。
 水面に現れた異形の角が、ひっそりと波紋を広げるような。
 その波紋はいずれ水流になり、渦になり、深淵の虚(うろ)になり、ゲーム業界に生きるものなら無視できないほどの大渦となりました。
 そう。近づいたものを容赦なく引き込み、叩きのめす災禍(ディザスター)に。
 正直、自分も『レイジングループ』の評判は聞いていましたが、忙しさにかまけてプレイするには至っていませんでした。それが2018年の5月、GWに休みができた事で「うーん、星辰が露骨に揃ったな」とスナック感覚でプレイし、気がつけばGWが終わっていたのです。
 プレイ時間、実に四日間。
 夢のようなゲームプレイ時間。仮眠をとった時、夢に見るほどの影響力。そして興奮。
 この時、自分は確かに藤良村に迷い込んだ住人であり、物語から逃れる事のできない囚人でした。知的好奇心を刺激されながら、ただ為す術もなく未明の闇に落ちていく感覚は、このジャンルのゲームでこそ最大に味わえるのだと再認識した程です。
 誤解を恐れずに記するなら、『レイジングループ』は『最先端』のものではありません。
 そこにあるのは『弟切草』から端を発したノベル形式ADVの、あらゆる旨味を詰めた蠱毒の壺です。オカルト。ホラー。極限状態での人間模様。神話と民間伝承。愛すべき登場人物たち。かみさま。かわいい。不可思議なるものを打ち払う推理の光。……そして、人間の強さと残酷さ。およそ物語に求められる要素はすべて。
『弟切草』と『かまいたちの夜』は同じノベル形式ADVでありながらテーマは正反対のもの、と説明しましたが、『レイジングループ』はこの異なる二つの恐怖を両立させ、かつマルチヒロイン形式まで組み込んでいます。
 この他、『人狼ゲーム』(こちらの説明は二巻以降、解説の方がやってくれると信じて)を題材にしてはいますが、根底にあるものは『ビデオゲームにだけ許された物語の楽しみ方』です。

 なぜこんな演出をするのか。
 なぜこんなモノローグが出てくるのか。
 なぜこんな談話を挟むのか。
 なぜこんなUIを採用しているのか。

 プレイ中に浮かぶいくつもの『なぜ』には、必ず答えが用意されていました。そういった『物語の外枠』……絵画でいうのなら『額縁』ですら、ゲームの面白さに連結させているのです。
 その外連味、『ループ物としての説得力』はゲームならではのものでしたが、この『小説版レイジングループ』にもその試みはなされています。
 ゲームで味わったあの『闇に進んでいく感覚』を小説媒体でどこまで表現できるのか。
 それが不安ではありましたが、原作者にして著者のamphibian氏はこちらの媒体でも『レイジングループ』として果敢に挑戦してくれました。
 この、どんな獣のものともよく分からないが、旨味迸る肉を嚙みしめている感覚……本書を読んでいる最中、自分の心は一年前のあの時に戻っていました。ゲーム版を未プレイの方にも、プレイ済みの方にも、本書は新鮮な読後感を与えてくれる事でしょう。

『レイジングループ』はまだ始まったばかりです。
 その濃度はこの先上がる一方で、下がる事はありません。
 一巻を読み終わった貴方の胸に芽生えた〝なぜ?〟という好奇心、その期待を裏切る事は決してないのです。
 かつてこのゲームに出遭った自分が、どれほど興奮したのか、この先に待つものがどれほどのものか。その興奮をこれから共有できる事を嬉しく思います。
 ADV文化の最後に現れた巨岩。
 どうか、その魅力の一端を感じてください。
 そして――ようこそ、おおかみ信仰の残る最後の楽園、藤良村へ。

 あなたに、ひつじの導きあらんことを。

奈須きのこ

作品紹介
すべての原点
ノベルアドベンチャーゲーム
『レイジングループ』

レイジングループ

おおかみをくくれ。 よみびとを絶やせ。

狂気の因習にまみれた集落で行われる殺人儀式「黄泉忌みの宴」の悲劇を阻止すべく、何度でも死から甦る「死に戻り」の男が挑む!
それは、テーブルゲーム「人狼」の世界観を和風伝奇ホラーへと巧みに再構成し、ゼロ年代以降の日本サブカルチャーの一大テーマであり続ける「ループ要素」の導入によってミステリの世界に新機軸を提示した大長編ノベルアドベンチャーゲーム。
2015年の公開以降、2017年の大幅強化移植を経て、今もなお反響が鳴りやまぬ奇跡の傑作。
これを体験せずして、人狼を、伝奇を、ノベルゲームを語ることなかれ。

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『レイジングループ』

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奈須きのこ、虚淵玄、小高和剛、日向夏、イシイジロウ、芝村裕吏、竜騎士07らを魅了した新たな才能、amphibianに刮目せよ!
ゼロ年代以降の「小説」の最前線が今、ここに。

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妖しげな因習に基づいた人狼伝説が今もなお息づく限界集落、休水に迷い込んだ旅行者・房石陽明を待ち受けていたのは、かつて人が殺したはずの神の使い、"おおかみ"による連続殺人だった──!
「死に戻り」の力で殺人儀式・黄泉忌みの宴へと潜入を果たした房石は、“へび”の加護を受けて“おおかみ”の正体を見破るが──!?

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