5年前の誘拐事件——雛見沢連続怪死事件の序章
昭和53年、東京で一つの事件が起きる。犬飼建設大臣の孫、寿樹が下校中に誘拐されたのだ。脅迫電話を受けた大臣は、事を穏便に済ませるため犯人の要求を呑む方針を立てる。
一方、犯人特定を目指す警視庁公安部は、疑わしい団体を探り始めていた。若き公安部員・赤坂衛が担当するのは「鬼ヶ淵死守同盟」。雛見沢ダムの建設に反対して過激な活動を続けており、犬飼大臣に陳情した過去を持つ団体だった。赤坂は出産を控えた妻に別れを告げて、雛見沢へと旅立っていく。
犬飼大臣を屈服させた誘拐と脅迫の手口は、とても素人のものとは思えなかった。田舎の住民団体に過ぎない鬼ヶ淵死守同盟にそんな力はないと考える赤坂。しかし××県公安課の室長は迷いなく断言するのだった。
「やるかもしれません。…底の知れない連中ですから。」
やがて赤坂は興宮警察署捜査一課の刑事・大石蔵人と合流。雛見沢に精通した彼の協力を得て、謎めいた村に足を踏み入れる。そこで彼を待ち受けていたのは、ダム建設に激しい抗議活動を続ける鬼ヶ淵死守同盟——そして古手梨花との出会いだった。