セイバー、そしてアーチャーとの“聖杯問答”の末、自らの最強宝具『王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)』を具現化し、征服王としての威容を示したライダー。その堂々たる王の姿に、セイバーは騎士王としての信念に僅かな揺らぎを覚える……。そんなセイバーを気遣うアイリスフィールだったが、アイリスフィールもまた、聖杯戦争の経過に伴って“作られた存在”たる自らの体に少なからず異変を感じ始めていた……。
一方、『王の軍勢』によって英霊・アサシンを失い、聖杯戦争からの退場を余儀なくされた言峰綺礼——しかし束の間の休息は突如左腕に現れた新たな令呪によって終わりを告げる。自身にすら理解することの適わない“願望”を聖杯に見咎められた綺礼は、再び聖杯戦争のくびきに囚われることになる。
魔術師達がそれぞれの理由で聖杯戦争の趨勢を見守る中、唐突に上がる狂気の幕——英霊・キャスターとして現界した“聖なる怪物”ジル・ド・レェ伯爵は冬木市を、そして世界の全てを飲み込むべく、強大な魔物“海魔”を召喚する。それは聖杯戦争を無視した“狂気の暴走”そのものであった。聖杯戦争に集う英霊らは“海魔”の暴走を阻止すべく絶望的な共闘を開始するが……。左手の傷が癒えぬまま奮闘するセイバーに、“約束された勝利の剣”の一閃はあるのか——?