互いに死力を尽くしたランサーとセイバーの激闘は相討ちに終わったが、その代償にセイバーが受けた傷はあまりにも大きいものだった。癒えぬ傷を抱えながらもランサーとの再戦を誓うセイバー———しかし招かれざる最悪の英霊・キャスターがセイバーに狙いを定める。
セイバーを想い人たる聖処女ジャンヌ・ダルクと思い込んで憚らないキャスターは、その狂気をもってセイバーの正気を取り戻し、我が物にしようと企てる。アインツベルン城の門前で繰り広げられる哀れな子供たちとキャスターによる悪夢の戯曲……。怒りに震え、我が身を省みる事もなくキャスターに立ち向かうセイバーだったが、ランサーに受けた傷は思いの外深く、キャスターの宝具から解き放たれる無尽蔵の魔力が、隻腕で剣を振るうことしか敵わないセイバーを徐々に窮地に追い込んでゆく……。
一方、宿泊先を爆破されたことで切嗣に一度不覚を取ったケイネスは、キャスターとセイバーの闘いにランサーを差し向け、敵地・アインツベルン城に単身乗り込んでいく。変幻自在の水銀が攻守を兼ね備えるロード・エルメロイ最強の礼装『月霊髄液(ヴォールメン・ハイドラグラム)』の仮借ない攻撃により切嗣を燻り出そうとするケイネス。一方的に追い立てられる切嗣だったが、その陰で巧みに整えられてゆく魔術師殺しの“狩り”の手筈……、そして切嗣の愛銃『トンプソンセンター・コンテンダー』の.30-06スプリングフィールド弾がケイネスに向けてついに放たれる——