遠坂時臣の召喚した人類最古の英霊・ギルガメッシュこと「アーチャー」によって山の翁ハサン・サッバーハの英霊「アサシン」が撃破され、ついにその開幕が告げられた第四次聖杯戦争。しかし一連の戦闘は全て時臣とその弟子・言峰綺礼によって偽装されたものだった。自らのサーヴァント・アサシンの脱落を演出することによって他の魔術師たちからの監視を逃れた綺礼は、時臣が望むがままに聖杯戦争の闇を駆け、全てのマスターと英霊の監視を行うこととなる。
一方、決戦の地・冬木市に辿り着いた“魔術師殺し”衛宮切嗣は、弟子の久宇舞弥とともに着々と聖杯戦争への準備を進めてゆく。だが、その手に武器ではなく娘を抱くようになってからの九年の月日は、切嗣の殺しの手腕を衰えさせるには十分すぎる歳月だった…。
切嗣とは別行動を取っている英霊「セイバー」は、冬木市に着くや聖杯戦争への緊張を露わにするが、切嗣の妻・アイリスフィールは生まれて初めての城外の風景に感動を禁じ得ないでいた。押し問答の末、アイリスフィールに連れ添って冬木の街を散策するセイバー。このまま平和に一日が終われば…と望んでいたセイバーだが、英霊「ランサー」とそのマスターの気配を察知してしまう。
このランサーとセイバーの出会いこそが、第四次聖杯戦争の幕開けであった。初戦から予想外の難敵に出会ってしまったことに戦慄を覚える両者。アイリスフィールが固唾をのんで見守る中、激闘は互角の様相を呈するが、勝ちを急いたランサーのマスターによって宝具使用の禁が解かれ、ランサーの宝具である双槍から膨大な魔力が解き放たれる。窮地に追い込まれながらもランサーの宝具の性質を見抜いたセイバーは乾坤一擲の一撃を放つのだが——