あらゆる"奇跡"を叶える「聖杯」の力を巡って、七人の魔術師が七人の英霊を召喚して覇を競いあう究極の決闘劇……聖杯戦争。過去に三度行われ、しかしいずれも決着が先延べにされたこの闘争に、此度四度目の火蓋が切って落とされようとしている。
"魔術師殺し"の異名を持ち、自らの正義の元に魔術師達を断罪し続ける暗殺者・衛宮切嗣は、自らの宿願成就のため、愛する妻・アイリスフィールの命さえも天秤に載せる覚悟で「聖杯」を勝ち得えようとしていた。召喚した英霊を切り札として戦い抜く聖杯戦争において、切嗣が伝説より召喚した英霊は、英霊として最高の座「セイバー」に就く騎士王ことアーサー=ペンドラゴンだった。しかし暗殺を主な戦い方とする切嗣と騎士道を何よりも重んじるセイバーとの相性は決定的に噛み合わず、二人の間の溝は少しずつその深さを増していく…。
一方、聖堂教会の"代行者"として命令されるままに異端を狩ることを生業としていた言峰綺礼は、聖杯戦争に参戦する者の証である"令呪"を、その右手に宿していた。願望を持つ者の望みを叶えるための「聖杯」が、魔術師でもなく、人生において何の願いも抱かない綺礼に"令呪"を与えたこと...。その真意を掴み得ぬまま、魔術師の名門である遠坂家の現当主・遠坂時臣が仕掛けた策略の駒として聖杯戦争に参戦することとなった綺礼だが——。
集いつつある魔術師と英霊、それぞれの思惑が渦巻く決戦の地・冬木市において、今まさに「第四次聖杯戦争」の幕が上がろうとしている。その死闘の果てに「聖杯」が叶える"奇跡"は希望か、それとも絶望か——