>諒解した。先に進もう。君が準備すべきことは3つだけだ。
まず、遺書を書きなさい。文面は用意してある。添付書類をプリントして、直筆でサインすればOK。君はこれから消える。それが事件として取り扱われたら困るから、遺書をきちんと残しておく必要がある。それは君がいなくなってから数日後に発見されるだろう。樹海に行って自殺するという内容だ。肉親も含め、わざわざ捜しに行く人はいないだろう。
遺書ができたら、今、君のいるその部屋のドアを開けなさい。隙間だけでいい。白い封筒がある。それで組織の力については実感してもらえることだろう。
最後に、その封筒の中の錠剤を全て飲みなさい。数分で眠くなるはずだ。
スタッフが既に、君の家の前でスタンバイしている。家族に知られずに、君の部屋に侵入する。このメールを含め不都合な痕跡を全て消去した上で、君の体を安全に運び出し、人工冬眠体保管庫に連れていくのだ。
早速だが、今すぐに始める。10分間で全てを済ませる。
難しいことは何もない。これから10分後には君は眠りについている。眠っている間は死んでいるのと同じで、そこに時間は存在しない。つまり君は10分と1秒後には、もう未来で目覚めているということになる。
早急すぎることに驚いているかもしれない。しかし長引かせればそれだけ秘密が漏れる可能性が高まる。
君はこれまで外に出ることを極端に避けて暮らしてきたために、物事を熟考する習慣がついている。しかし瞬時に判断しなければならない局面というものは社会にはあるものなのだ。君が少しでもためらうようならば、我々は引き上げることにする。今しかない。今決断できないなら、君は永遠に決断できないだろう。ずっとそのクソのような現実に甘んじていればいい。
遺書を準備し薬を飲むことができたら、返信してほしい。飲めなかったら別にそれでもいい。このメールは消去して、全てを、忘れなさい。