テーマ この作品の「テクニック」に惚れた
レギュラーセレクター 水曜日 太田克史さん
2011.11.23
バド・パウエルとピアニストでかぶっちゃうから入れられなかったけど、「魔神」とまで謳われた不世出のピアニスト、ホロヴィッツの『Horowitz Plays Liszt』は入れたかったなあ。ピアノという楽器が奏でる極北中の極北の音を聴くことができるので、ぜひ。
ディア・ハンターマイケル・チミノ
No.01
「戦争」映画史上に残る傑作のはずなのに、冒頭30分の長きにわたってアメリカのどうでもいい田舎町のどうでもいい日常が繰り広げられる。正直言って、マジでどうでもいい……と思っていたら、いきなり場面が転換して、ベトナム戦争の激戦地で繰り広げられる生死ギリギリのシーンに。まさに世界が一瞬で塗り替えられる衝撃。惚れた。
The Genius of Bud Powellバド・パウエル
No.02
ピアニストの力量は、スピード、パワー、テクニックの三つの頂点を持つグラフで表すことができる。この時期のバド・パウエルはその三つの頂点の三つともに迫りきったピアニストだと言えると思う。当然、聴く側にも相応の体力が必要な類いの音楽であって、僕もこのアルバムを聴くときには決まって居住まいを正してしまう。I love Bud.
初音ミク・アペンド
No.03
原型師・浅井真紀は僕などが言うまでもなく、天才である。とくにそのフィギュアが題材としているキャラクターのファンでもないのに、ぱっと見た瞬間に「いいなあー」って思うフィギュアって、たいていは原型師が浅井さんだったりする。そんな経験のある人は僕以外にも多いのではないだろうか。浅井さんは、もちろん圧倒的なテクニックを誇っているんだけど、しかし彼のフィギュアの本質はそこにはなくて、浅井真紀という人が持っている「造形の哲学」にあると思う。僕はこれからも折々で「浅井真紀のフィギュア」を買い求め続けるだろう。
太田克史さん
72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。
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