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テーマ これが「わかる」人ならば、すぐに友達になれると思うもの

レギュラーセレクター 曜日

「友達」って気がついたらなっているものだから、「友達になった瞬間」ってのが明確にわかるなんてことは稀なことなんだって思う。でも、後になってから思いを馳せてみれば、「好きな人やものが同じだとふとしたはずみでわかった瞬間」こそが、友情の始まりだったってことはわりとよくある気がする。

LIVE!ブランキー・ジェット・シティ

ブランキー・ジェット・シティのライブに行ったことのある人となら、すぐに友達になれる。ブランキーのライブは、とくにその初期はオーディエンスの刺青率が50%くらいあったのではないだろうか(だよね?)。色んな意味で危険なライブだった。あの頃のライブの客席には、ライブが始まる前から終わるまでのあいだずっと、浅井健一、照井利幸、中村達也が居並ぶステージに負けないくらいのはりつめた緊張感がみなぎっていて、僕はその中にいるのが好きだった。浅井健一さんは現代最高の詩人の一人です。

機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙バンダイビジュアル

「宇宙」と書いて「そら」と読める人となら、すぐに友達になれる。僕は未だに、映画館でこの映画がかかっていると知ると必ず出かけてしまう。そのくらい好き。だって、クライマックスのシーンが「宇宙に海」なんですよ! 何そのアニメ史上初にして屈指のモンタージュ……。宇宙に広がる海の中でララァが散華するシーン、そして永遠のライバル、アムロVS.シャアが生身で一騎打ちを果たすラストバトルシーン……。何度観ても新しい発見があるのです。

LAST TEENAGE APPEARANCE尾崎豊

尾崎豊が好き、とちょっと照れながら告白してくれる人となら、すぐに友達になれる。僕がいちばん聴き込んだのが、このライブアルバム。尾崎豊、10代最後の一日の記録がここにある。尾崎は、何をどうやってみてもどこかで不意に死んでしまう人だったとは思うけれど(ロックスターとはやはりそういうものだ)、ぶざまでもいいからもう少しだけでも生き延びてほしかった。尾崎豊は、これからの未来を生きる10代の人にこそ、聴いて欲しい。

サンクチュアリ史村 翔 池上遼一

胸に秘めた“聖域”=“サンクチュアリ”がある男となら、すぐに友達になれる。あるいは、“強敵”=“友”として命を賭けて闘うことができる……。そうは思いませんか? 僕は思うね。日本漫画界屈指の名コンビ、史村翔と池上遼一の美学が炸裂する頂点の傑作であり、まさに“聖域”な作品。とにかく徹頭徹尾、カッコいい男だけしか出てこない。シビれるぜ!

さくらの唄安達 哲

さくらの花咲く頃、ふとこの本を手に取ってしまう人となら、すぐに友達になれる。この漫画には青春のぜんぶがつまっている。僕は原点となるヤングマガジンコミックス版から現時点における最新版の講談社BOX版に至るまで、全部の版(エディション)を持っているし、そのどれもが捨てられない。捨てられるものか。

太田克史さん

72年生まれ。編集者。95年講談社入社。03年に闘うイラストーリー・ノベルスマガジン『ファウスト』を創刊。舞城王太郎、佐藤友哉、西尾維新らをデビュー当時から担当する。10年、未来の出版社を目指し星海社を設立。代表取締役副社長に就任する。

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