ねないこだれだせなけいこ

親の大きな膝の上で息を詰めて聞いた「こわいおはなし」。誰しも鮮明に覚えている、人生ではじめての最高にドキドキする体験。怖くてたまらないくせに、面白くて、うれしくて、しあわせで。 安全が確保された状態での“怖い”は人間にとって最高の楽しみです。小説、映画、漫画、TV……。世間は“怖い”をいくらでも与えてくれます。ああ、でもあの子どものころに味わった“怖い”ほど、人の魂を一生あたためてくれるものはありません。

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饅頭こわい桂 枝雀

「好きなものは何か?」よりも「怖いものは何か?」への答がその人の本質をあらわにします。その人が恐れるものが、普段は観ることの出来ない、その人の世界の枠組みの輪郭線をくっきりと浮かび上がらせます。「自分とは何者か?」を問うことは、自分は本当は何が怖いかをジッとひとり考えることだと思います。そこに答があります。「○○を怖いと思う者」というのが一人ひとりの「自分とは何者か?」への、誰にも秘密の回答です。

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怪人二十面相江戸川乱歩

少年期、こっそり「怖い本」に熱中した思い出は誰にとっても大切な宝物です。ちょっぴり、でもはっきりと自分が少し大人になった手応え。ドキドキドキ……。幼子は親の膝から降りて、やがて自力で自分の“怖い”を求めはじめます。知らない闇の向こうに、その手を伸ばします。そうして手にした様々な“怖い”は、その人の世界を形作り、誰かを愛することに育ってゆきます。社会的な使命感に育ってゆきます。人の魂は“怖い”を糧とします。豊かな“怖い”を持ちたいですね。

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