ツイン・ピークス:「ツイン・ピークス ゴールド・ボックス」デイヴィッド・リンチ

ツイン・ピークスはもちろん架空の町ですが、観ているうちにこの町のだんだん「土地勘」が出来てきます。それどころか、馴染みの場所や人も増えていき、この架空の町への「郷土愛」みたいなものさえ湧いてくるのだからすごいものです。猟奇的な殺人事件が起こったり、森の中には邪悪な存在が潜んでいたりもする、物騒な町なのに(笑)RRダイナーでチェリーパイを食べたい! ダイアン!

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ヤーパンの天井:「オーバーマン キングゲイナー」富野由悠季

富野由悠季作品には設定の説明ではなく、世界と生活があります。読者はいきなり作品の中で暮らすことになります。最初こそ意味のわからない固有名詞や慣れない習慣に戸惑いもしますが、でもそれは現実と一緒でごく自然なことなのです。そのうち馴染みます。 頭上に星の代わりに街の灯が瞬くスペースコロニー(『機動戦士ガンダム』)、「3日間の掟」の惑星ゾラと呼ばれる地球(『戦闘メカ ザブングル』)、黒歴史の遺跡の残るアメリア大陸(『∀ガンダム』)……どこも馴染み深い世界です。 「ヤーパンの天井」での暮らしは冒険と恋がいっぱいで楽しそうです。

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友引町:「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」押井守

廃墟の街で自分たちだけで自由気ままに暮らしてみたいというのは「少年の夢」です。「子どもの夢」じゃないです。つまり、実現されることはないし、その夢自体が、ちょっと後ろめたい、大っぴらに口にするには恥ずかしい想いだということをちゃんと自覚した上での夢です。最初から自分の手で壊さなければいけない夢です。だから、ちょっとだけ切ないです。

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