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テーマ この作品に「一目惚れ」した!

ゲストセレクター 2011年09月

恋をする、というのは所謂脳みその錯覚で。自分の意思ではどうにもならないことで。訳もわからず、ふいに、胸の奥を掴まれてしまうもの。あらゆる過程をすっ飛ばして、一目惚れは一瞬で始まる。それこそ理由なんて無いんだろう。質問をしてくださった方に、感謝を。この場を与えてくださった星海社さんにも。

ピエタミケランジェロ

まだ「芸術」というものを知らなかった中学生のころ、美術の時間に一目惚れ。このときに、初めて「美しい」という言葉の意味を知ったんだった。それまでは、美しい、なんて言葉を使ったことは無かったし、本当の意味も知らなかった。この彫刻は今でも、自分の中で絶対的な美を示す(自分の)世界で最も美しい美術品。イタリアへは彼女に会いに行く、といっても過言ではないな。実際会いに行くと遠いし、ガラスに囲われちゃってるし、もう。

蜻蛉の精ルネ・ラリック

そろそろ進路を決めようかと周囲がざわつき始めた高校3年の春に、薄暗い下駄箱の片隅で、一目惚れ。下駄箱の脇にある、若くて快活な少女たちなら目もくれずに通り過ぎるであろう掲示板に、堂々と貼ってありました。アール・ヌーヴォー展のポスターが。そこで、珍しくも立ち止まったのを憶えている。こんなところに掲示板なんてあったっけ。そんな考えすら浮かばないくらいに、意識をぐん、と持っていかれた。何日か、朝方と夕方に彼女を眺める日々が続いて、最終的には職員室に飛び込んで、ポスターを手に入れた。

下出祐太郎

高校3年の(色々な意味で)鬱陶しい夏、古本屋の店頭で一目惚れ。定価の10分の1以下の値札をつけて、くたびれ果ててちょこんと並んでた。魚だから、という理由だけで手に取った。(ちょっと古臭い表現だが)宇宙は存在する、と確かに思った。芸術の中にはあらゆる世界が存在する。そして、芸術家は、それを作ることが出来る!訳もわからず美術の道に進んでしまった当時の自分は、そんなことを感じてしまったようです。ところで魚は、何故あんなに美しいのだろう。重力を感じさせないその姿、完璧だと思う。とくに、メダカね。


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