世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド村上春樹

高校の頃、姉が持っていた、カバーも外れ雨でくしゃくしゃになっていた『風の歌を聴け』を、勝手に『ああ、なんかあまり売れていないマイナーな作家なんだろうな』と思いこんで読み、衝撃を受け、勝手に自分だけがひっそり知っているすごい作家、と信じて疑わずにいました。(『ノルウェイの森』を見るまでは……)今思うといい出会い方をしたなと思います。子供の頃から『頭の中に街がある』という空想を持って生きてきたので、『世界の〜』は読んで本当にびっくりしました。

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鋼鉄都市アシモフ

アシモフに関しては、とにかく著作が多く、ジャンルの幅も広く、どれも大好きで、一作上げるのは難しいです。『空想自然科学入門』など、科学エッセイも大好きでした。高校の頃、授業を放棄してずっと読んでいました。物事を順序だって考える事を学びました。『黒後家蜘蛛の会』も『夜来たる』も『ロボットシリーズ』も『銀河帝国の興亡』もどれも好きですが、『鋼鉄都市』はSFでミステリという新しさや世界観、ロボットのダニールとイライジャ・ベイリの間に友情が生まれていく描写など、いろいろ好きな要素が詰まっているので。

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鞄の中身吉行淳之介

吉行淳之介に関しては、特定のどの作品が、というより、考え方と文体に強い影響を受けました。なので対談やエッセイの方が何度も読み返したような気がします。『(本物の)マイナー・ポエットとして大成したい』『腐る部分のない文章を書こう』といった言葉が、強く印象に残って、自分もそうありたいと思ったり思わなかったりです。ひとつ作品をつくるたびに『デビュー作から順番に読んでみたい』と思ってもらえるような作り手でありたいです。

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2001夜物語星野之宣

中学生の時本屋で『2001夜物語』の1巻を買い、家で読んであまりの面白さに2巻を買いに本屋まで走ってしまいました。絵柄は大好きですがあまり影響を受けていないですね。その分、物語の組み立て方、語り方、伏線の置き方、人物のつくり方など、は圧倒的なくらい影響を受けました。

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青い宇宙の冒険小松左京

これはまさにMY「古典」という作品。読み始めたのは7歳の時。読み終えたのは35歳(笑)。姉が図書館から借りてきた本で、内容的にはしっかりしたSFで7歳の子供には難しかったのですが、あまりに面白くて自分の心臓の鼓動が聞こえるくらいドキドキしました、ラスト付近、全てが光に包まれ、この後どうなるんだ!?というシーンまで読んだところで姉が図書館に返却してしまい大喧嘩。借り直せばいいのにへそを曲げ『じゃあ読まない!』と言ったきり約30年。不思議な縁でカバーの仕事をいただき、やっと読み終える事ができました。

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